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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 9
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といんだ。闇鴉だの陰陽塾だの、くわしく教えてもらえないかな」

 地州と呼ばれた男の目が細まり、あからさまに不機嫌な表情を浮かべた。どうやらからかわれていると思ったようだ。

「どんな辺鄙なところから来たのか知らんが、神龍武士団の名を知らんとは言わせんぞ」
「しんりゅうぶしだん〜?」

 脳内で漢字変換する。神龍武士団とはまた大層猛々しい名称である。

「そうだ。この神龍呪印を見よ。畏れ多くも新皇陛下より与え賜わった選別の証である、頭が高い」

 額の梵字を誇らしげに見せびらかす。これが神龍武士団という組織に属する印のようだ。

「明治維新から一世紀半も経とうってのに、武士とはまたレトロな趣味だな」
「なにを言う、まことの日本人にはみな武士の、侍の血が流れているのだ。武士道こそ日本人の目指す道である」
「武士のどこがえらいんだか、たんなる世襲制の公務員てだけだろ。特に江戸時代のあいつらときたら、なにひとつ生産せずに、ふんぞり返ってただけだじゃいか。いまどき武士道なんぞを賞賛するやつは他人に働かせて自分だけ年貢でのうのうと生活することを夢見るニート予備軍だね。それに日本人が武士の末裔だって? アホか。日本人の大半は農民の子孫だよ」
「ぐぬぬ、愚弄するか!」
「愚弄もなにも事実だ。士農工商の『士』。武士階級が人口に占める割合は、足軽や郷士といった馬に乗る権利のない下級武士もふくめて多めに見ても、全体の一割未満。『工商』に属する町人もそんなに多くはなく、日本人の八割は『農』に属するお百姓さんの子孫だよ」
「田舎者のする歴史の講義などどうでもいい!」
「おっと待った、俺を無礼討ちする前にやることがあるんじゃないかな」
「なんのことだ」

 周囲でのびている連中を指差す。

「こいつらは神聖な寺院内で乱暴を働いたんだ。しかも炊き出しを必要としている人たちに対してな。武士ならば看過できない振る舞いじゃないか、とっととしょっぴいたらどうだ」
「おまえが倒した者たちは神龍武士団の協力者、準団員たちだ。公務執行妨害というやつだな」
「炊き出しの列にならんでいた人たちは犯罪者には見えなかったが」

 言いつつ地州の口から出た『公務』という言葉が気になった。神龍武士団とやらはKKKやネオナチや憂国騎士団といった反社会的で非合法な犯罪組織ではなく、警察や自衛隊、陰陽師とおなじ国家公務員ということか。

「犯罪者だとも、物乞いという名のな。働きもせずに他者にたかってばかりいる乞食など生きる価値もない。自力で生きられない者は、淘汰されるのが自然の摂理。それを偽善者どもの手前勝手でくだらない自己満足のために無理やり生かそうとするから国家財政は破綻するし、税は重くなる。われらはそれを正しているのだ」

「……それは、国の方針な
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