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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 9
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5……4……3……2……。
ついに最終ステージへとたどりついた。
煤けた天井と色あせたカーテン、安物の芳香剤の匂い。
狭くて薄暗い一室にあるベッドの上で秋芳と京子は目覚めた。
「どこかしら、ここ」
「この部屋は……、レンタルルームみたいだな。それも渋谷の」
室内を一瞥し、窓の外を確認。雑居ビルが乱立する街並、遠くにある見覚えのある建物。それを見た秋芳はそう判断した。
「レンタルルーム?」
「まぁ、ひとことで言うとラブホテルのショボイ版かな。浴槽がなくて狭いシャワー室しかない」
「へぇ〜、だれかと来たことあるの?」
「そんなことよりも! ここは最終ステージだろ。ミッションクリア条件は聞こえないのか?」
各ステージのクリア条件は京子が天の声を受信する。託宣というかたちで知らされてきた。
「……妙ね、なにも聞こえない」
「たしかに妙だ。いままではすぐ勝利条件だの敗北条件だのが知らされたのに」
「それで秋芳君はこういう場所にだれかと来たことはあるの?」
「妙といえばはじめて現代が、それも俺たちに馴染み深い場所が舞台になったな。今まではせいぜい近代までだったのに」
「ねぇ、だれかと来たの?」
「ここでこうしていてもしかたがない。ふたりはとりあえず外へ出ることにした」
「なに勝手にナレーションして先に進めようとするのよ! 質問に答えてちょうだいっ!」
「いやいやほら、あったんじゃんラブホ回。『エスケープfrom道玄坂』だっけ。あれでラブホ街に来てたでしょ」
「メタな発言して話を逸らさないで!」
わーきゃーともめつつも屋外へと出る。
「思ったとおりここは渋谷。円山町だ」
渋谷区円山町。
渋谷駅周辺。センター街や道玄坂が街の表だとしたら、道玄坂から一歩裏手に入った百軒店は裏の顔といったところか。大正一二年の関東大震災の復興に際して、若者が集うための喫茶店や映画館。BARなどの飲食店が集り、軒数は一〇〇軒を超えたことから渋谷百軒店と呼ばれる、戦前の面影を残したディープなエリア。
そして裏も裏、影の顔を持つ場所が円山町だ。百軒店に連なる飲食街だった一画が、いつの間にやらラブホテル街へと変貌した。
人間が生来持つ欲望の渦巻く場所。真っ昼間だというのに人前で堂々とホテルへ出入りするカップルたちの多いこと多いこと……。性の解放区だ。
「ここ、現実世界じゃないわよね。あたしたち、全ステージクリアしたんだけど、最終ステージのことを忘れちゃってるだけとか」
「む……、たしかに。目覚めた後のことをあまり考えていなかったが、体感時間にして何年という年月を夢の中で過ごしたんだ。精神になんらかの影響があってもおかしくはない、目覚めの直後に意識が朦朧としてほっ
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