第12話 軍令部総長の二面性 Ev03
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ガシャアアアアアアアン!
破壊活動は激しさを増し、こちらに重量のある機器が飛んでくる。
小柄なのに見た目以上のパワータイプだ。怒らせないようにしよう。
「あ、なるほど……頭の上の猫がいませんね?」
「……………かきかき」
平賀は急いで落ちている紙を拾い文字を書き始める。
そこには現在捜索中と書かれていた。
それならと伏見は自らの端末を取り出しアプリを起動する。
「小澤少将が作った猫を呼び寄せるアプリです」
猫にしか聞こえない音らしいがアプリを起動すると、
猫の久重が、どこからともなく飛んできて、平賀の頭に着地した。
どうやら生理現象を我慢できなかったのは猫の方だったらしい。
工具でぐりぐりとお仕置きされているのを温かく見守る。
大事なパートナーなのだアレはアレでスキンシップなのだろう……。
「…ぼそっ」
「にゃにゃん、そのアプリ欲しいそうです」
お仕置きも終わり久重は喉を撫でられ気持ちよさそうにゴロゴロしている。
「まあ……久重がいないと喋れないなら必須ともいえるアプリですね。
どうして自分の声で喋らないんですか? 緊急時とか大変ですよ」
声のでない病気とかではないと戸塚軍医から聞いている。
「それは……私の地声には、その……威厳がないのだ」
「威厳ですか?」
「そうだ。技術中将として人を束ねるには威厳が必要なのだ。
だから私は猫の久重を代弁者として喋らせている。口も疲れないし一石二鳥だ」
いやいやいや。たしかに軍という組織で威厳が必要なのは分かる。
こっちだって全軍No3の軍令部総長やってるけど、
御前会議で帝ちゃんには、ちゃんづけで呼ばれるし、
噂では軍令部のカワイイ軍人コンテストという非公式の人気投票でトップ5に入ってるらしい。
幕僚職から満州会戦の後に大抜擢された為に艦隊提督としての軍功がなく
日米開戦時における秋山参謀の心配があったように艦隊司令官としての手腕は未だに認められていないのだ。
「たしかに軍人は戦争で死の可能性がある命令と下す立場、
他と比べても威厳が求められるのは認めますが……」
「そうだろ? 技官のトップとして舐められるわけにはいかないのだ」
「はい……よく(頭に猫を乗せておいて威厳もくそもないのは)分かります。
けど、どうして猫なんですか?」
「なんだ。学があると思ったが知らんのか。
統一宇宙歴前より遙か昔、今や名前さえ失われた故星の歴史書によると、
大航海時代船乗りたちは鼠から食料を守るため猫を船に乗せたのだ。
海軍といえば船乗り、船乗りにとって猫は守り神なのだ」
「たしかに宇宙空間で長く活動する海軍は、
宇宙幽霊といった噂話や迷信もそうだし、何よ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ