第二章
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「大人気だったな」
「あれ面白いですよね」
笑って話す和だった。
「俺今あれにはまってまして」
「仕事帰りはか」
「やってから家に帰ってるんですよ」
「おい、御前新婚さんだろ」
先輩は自分に笑って話す和に彼のそのことを指摘した。
「そうだろ」
「はい、東淀川に家もあります」
「だったら出来るだけ早く帰れよ」
「寄り道せずにですか」
「俺だって結婚して三年だけれどな」
先輩は自分のことも話した、和とは五歳上であり博物館に勤務するのも丁度それだけになっている。
「それでも出来るだけ早く帰ってるからな」
「奥さんいたらですか」
「ああ、特に新婚の時はな」
「早く帰らないと駄目ですか」
「そうだ、奥さんも怒ってるだろ」
「はい、早く帰って欲しいって」
「だったらな、ゲームは家でしてな」
そうしてというのだ。
「出来るだけ早く帰れよ」
「その方がいいですか」
「御前そんな寄り道ばかりしてるとな」
先輩は和にさらに言った。
「この博物館のある八条大学のことは知ってるだろ」
「卒業生ですからね、俺」
「俺もだよ、まあ俺は理学部だったけれどな」
そこで鉄道関係のエンジニアと学芸員の資格を得てこの博物館勤務になったのだ、和は学芸員の資格に鉄道の歴史の知識の造詣の深さを買われて採用となった。
「八条大学出身だしな」
「それで、ですか」
「ここは妖怪の話が多いだろ」
「はい、かなり」
「早く帰れって妖怪に催促されるぞ」
学園の中にいる妖怪にというのだ。
「砂かけ婆とかな」
「あの砂をかけてくる妖怪ですね」
「あの妖怪も学園の中にいるらしくてな」
「寄り道ばかりしてるとですね」
「砂かけて早く帰れって学生や職員に催促するらしいんだよ」
「そんな話があったんですか」
「ああ、だからな」
それでと言う先輩だった、自販機で買った紙コップのホットティーを飲みつつココアを飲む和に話した。
「御前もな」
「早く帰れっていうんですね」
「ゲームもいいけれどな」
「九時には帰る様にしてますし」
遅くなってもと言う和だった。
「それに時々ですから」
「最近遅いのが続いてるだろ」
「四日位」
「もう早く帰れ、奥さんも怒るし砂かけ婆もな」
この妖怪もというのだ。
「怒ってくるぞ」
「砂をかけてきてですか」
「そうなるからもうそろそろ早く帰れ、いいな」
「今日も電車動かしたいんですが」
「そんなのここの展示品見て我慢しろ」
鉄道のことはというのだ。
「そうしたことも出来るしな」
「あれですね、鉄道の操縦を実体験出来る」
「あれはただだ、しかもな」
「職員でも昼休みなら利用出来ますし」
「それをやってだ」
そのうえでというのだ。
「我慢しろ、いいな」
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