暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
第135話「京での戦い・後」
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 咄嗟に振るわれた尻尾は、リヒトを滑らせるように添え、その際の反動で体を浮かせて乗り越えるように躱す。
 そのまま掌底を放ち、玉藻前にさらにダメージを与える。

「ッ、ォオオオオオオオオン!!」

「っと…!」

 接近すれば、いつもこれだ。必ず霊力で吹き飛ばしてくる。
 さすがに、この衝撃波に穴を開けて密着する程の労力は割けない。
 よって、素直に間合いを離す事にする。

「グォオオオオオオオオオン!!」

「っ…さすがは玉藻前。曲りなりにも大妖狐の名を名乗るだけある…!」

 明らかに相殺しきれない程の質と量の霊術。
 それらが一斉に放たれる。…それだけじゃない、呪詛まで込められている。
 僕が凌ぐ事に集中すればどうという事はないが、今回の術に込められた呪詛は大地に接触するだけで危ない。自然を枯らし、大地を穢すからだ。

「……だけど、一手遅かったな」

 僕だけじゃ呪詛付きの術を相殺しきれなかっただろう。
 でも、僕には心強い式姫が二人ついているからな。

   ―――“弓技・瞬矢”
   ―――“呪黒剣”

「はぁっ!」

 後ろからいくつもの矢が放たれ、地面から黒い剣が生える。
 それらが玉藻前の術を貫き、残りの術も創造した剣で切り裂いた。

「ォオオオオッ!!」

「ふっ…!」

 凌いだ直後に玉藻前が襲ってくるが、導王流であっさりと受け流す。
 それどころか…。

「はっ!」

「せいやぁっ!!」

 後方から矢が飛んできて、それを躱した所へレイピアが繰り出される。

「優ちゃん、無事?」

「ああ。…用は済んだのか?」

「うん。かやちゃんも後ろにいるよ」

 椿と葵が追いついてきた。もう負ける事はありえない。
 ……そろそろ終わらせようか。

「ォオオオオッ!!」

「フォロー任せた!」

「了解!」

 間合いを離した玉藻前から術が放たれる。
 さらに硬化した尻尾も繰り出され、形振り構ってられないのが分かった。
 だけど、それは導王流にとって格好の餌食だ。

「シッ………!!」

 尻尾をリヒトで滑らすように逸らし、術は創造した武器と霊術で相殺する。
 相殺しきれない分は葵が請け負い、最低限の体力消費で肉迫する。

「ッ……!」

「させないわ!」

   ―――“弓技・瞬矢”

 肉迫された時のための術式を用意していたようだが、それは放つ直前に椿が放った矢によって貫かれ、不発に終わる。

「仕上げだ」

 まずは一発、掌底を放つ。少し玉藻前の体が浮く。

「ッ、ォオオオオオオオオオン!!」

   ―――“九天(きゅうてん)

 咄嗟に、玉藻前は大技を繰り出す。

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