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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
出会いの夜
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ールド・リーディングだ」
「さっきの質問に答えてくれ。入ってくる客の性別をどうやって見分けているんだ。【アキュレイト・スコープ】か【シースルー】か。【コール・ファミリア】で外に使い魔でも放っているのか」
「いやいや、こいつは射覆(せきふ)といって俺の国に伝わる占術の一種さ。魔術のたぐいはいっさい使っていない」

 うそはついていないようだ。セリカの【センス・ライ】にはなんの反応もない。

「ほう、射覆ってのはどんな占術なんだ?」
「隠されたもの、見えないものを当てる占術だ。この国に伝わる魔術とはちがう」
「へぇ、そりゃ凄い。なら私の下着の色も当てられるのかい?」
「当てて欲しいのか?」
「ああ、ぜひ当ててくれ」
「黒だ」
「はずれだ、インチキ占い師。罸杯だな」
「おいおい、そいつはおかしいぞ。見せてくれ」
「淑女になんてこと言うんだい」
「淑女は下着の色を当てろだなんて言わないだろ。もっと無難な質問はないのか」
「なら私のスリーサイズは?」
「それが淑女らしからぬ質問だと言っているんだ。だいたい下着だの体形だのを言い当てるのが射覆じゃあない。俺は気の流れを見て様々な事象を――また来たぞ。男と女のふたり連れだ。マスター、女性にはベリーニを、男性にはジン・ビターズを」

 はたして秋芳の予想通り、男女のふたり連れが入ってきた。これがセリカには解せない。
 気を読むとはどういう意味か。
 いや、気の意味ならセリカにもわかる。
 人の身体や天地に満ちる魔力(マナ)、霊脈、自然界に存在する精霊力、それら霊的エネルギーを『気』と呼ぶのは知っている。
 だが魔術を使わずになぜそのようなことができるのか。
 たしかに東方には東方の魔術があるだろう。マントラやタオという東方魔術の名なら聞いたことがある。だがそれは名称が異なる、表層の術式がちがうだけで本質はルーンをもちいた魔術と大差ない。
 このルヴァフォース世界に魔術はひとつしかない。
 そのはずだ。

「東方の魔術≠燻gっていないだよな」
「そうだ」

 やはり、うそはついていない。

「異能か?」
「ああ……、たしかに異能といえば異能か。見鬼といって対象の気を感知する術というか能力で、遠視でも透視でもない。男女の気にはちがいがあるので、俺はそれを壁越しに感知しただけさ」
「男女の気のちがいだと?」
「そうだ。男には陽の気が、女には陰の気が――」





 いくつもの酒瓶が空けられ、カウンターやテーブルの上どころか、床にもころがっていた。
 客のほとんどは帰るか酔いつぶれており、マスターでさえ手洗いに立ったままそれっきりだ。
 その酔いつぶれて寝ている客はみな異様な姿になっていた。
 エルフのようにとがった耳やドワーフのようなビア
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