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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
出会いの夜
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測地点が発する光を曲げて術者の視界にとどける呪文。
 おなじく【シースルー】は障害物のむこう側や物体の中身を透視できる呪文だ。

「この人ってばあたしの職業も当てたんですよ!」

 秋芳が応じるよりも早く近くのテーブルについていたピンク色のドレスを着た女性が興奮気味に声をあげた。

「ふぅん、見ない顔だね」
「あ、あたしは――」
「おっと、まった。私もあんたの職業を当ててみよう」
「え?」
 
セリカは女の周りを軽く一瞥した。席の位置、荷物、衣類掛け――。

「……ずばり、帝都の芸能関係者だ」
「えええッ!? あたしこれでもお芝居してるんです。当たりです、なんでぇ? あなたも占い師さん?」
「明白なことさ」

 派手なピンク色の服から芸能関係の仕事。所持していたスーツケースから数泊の予定でフェジテへ来た。フェジテはここ数日晴れているのに外套は湿っていて、襟を立てた濡れかたから風をともなう雨だった。
 住まいは遠いが外套が乾かない距離で風雨があった場所は帝都オルランド方面である――。

論理的推論(アブダクション)てやつだ、占いでもなんでもない。騎士爵様も外見と所持品で相手の特徴を言い当てたんじゃないのかい?」
「そういう芸当なら俺にもできる。……君は強い意思と信念があるが、同時にストレスで心に重いものを抱えている。他人に自分のことを知って欲しいと思う反面、深入りして欲しくないとも思っている」
「この服の色を見て思いついただろう、色彩心理学のテンプレート通りの言葉だな。しかも内容はだれにでも該当する曖昧で一般的な記述だ。ところが言われたほうは自分だけに当てはまる性格だと捉えてしまうまう。心理的な現象てやつだ。論理的推論を続けようか騎士爵様」
「賀茂秋芳だ」
「セリカ=アルフォネア」
「マスター、アルフォネアさんにベリーニを」
「セリカでいい。ベリーニか、あれは美味しかったが次はべつのものが飲みたいな」
「飲めるほうなのか」
「もちろん」
「リュ=サフィーレを。それとベルーガのキャビアを薬味つきで」

 たがいに杯を交し、サフィーレ地方の厳選された葡萄から生み出された濃厚かつ清純な美味を喉に流し込む。

「シーホークじゃ大活躍だったそうじゃないか、カモ・アキヨシ」
「秋芳でいい。賀茂だとダックみたいだからな」

 セリカの指先が酒を注ぐ秋芳の手を悩まし気に撫でる。

「左手の小指と薬指の根元と、両手の人差し指と中指の拳頭にタコがある。剣をたしなむようだが純粋な剣士ではない。格闘術など、それ以外の身体能力にも長けている。……錬金術にも興味があるみたいだな」

 セリカは秋芳の袖についた紅鉛鉱の粉末を目ざとく見つけ、魔術溶液のかすかなにおいを嗅ぎ取った。

「ご明察。たいしたコ
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