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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
出会いの夜
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の施設を使っているそうだ。
 どんなやつが入学しようがしまいが、セリカには関心がなかった。
 魔術学院に教授として籍をおいてはいるが、彼女の興味の対象は地下に広がる古代遺跡の調査のみ。
 この場で、偶然目にするまでは。

「剣と魔術の両方に長けたチートキャラ。気に入らないねぇ」 

 絶大な魔力と強力な魔術特性【万理の破壊・再生】――すべての物理法則を破壊し、それを自在に再構築する。時間の理すらも破壊し、支配する――を持つ、みずからを棚に上げてうそぶくセリカの前にグラスが運ばれてきた。たのんだおぼえはない。

「これは?」
「騎士爵様からです。入学祝だと言って、今夜は来るお客様全員にふるまっています」
「もう入学したつもりか、おめでたいやつだな。……ん? なんだこれ、美味いじゃないか」

 鮮やかなピンク色をした液体を紅唇にひとくちふくむと、果物の持つ爽やかな甘みと香りが口腔に満ちた。

「騎士爵様に教えていただいたレシピで作ったベリーニというお酒です」
「酒の好みは悪くないみたいだな」

 店の扉が開いて新たな客が入ると、ふたたび歓声があがった。例の性別当てゲームはまだ続いているようだ。

「どれ、一杯おごってくれたお礼に少しつき合ってやるか。占いのお手並み拝見だ」

 魔術をもちいた卜占術も存在するが、巷の占い師のたいていはいんちきだ。
 たとえば――。

 客が来るとまず最初に「あなたの父親は死んでいないでしょう」と言い、もしその客が
「父は存命ですが」とでも言えば「そうでしょう、父親は死んではいないでしょう」と返す。
「三年前に亡くなりました」とでも言ったら「そうでしょう、死んでこの世にはいないでしょう」などと、どちらにころんでも自分の言ったことが当たったと無理やり思わせる。
「あなたの家の庭に樫の木があるでしょう」と言い、ないと答えれば「なくて幸せだ、あれば命にかかわる」と返し、あると答えれば「顔を見ただけで庭の様子がわかるのだ」とはったりをかます。

 などなど……、言葉巧みに相手を惑わす。
 良心的な占い師にはお悩み相談、心理療法士としての側面があるが、そうでない者のほうが圧倒的に多い。
 セリカはベニーニを飲み干すと早口で《センス・ライ》《センス・エネミー》《センス・マジック》を唱え、秋芳のテーブルに近づいた。
 どんなトリックを、あるいは魔術をもちいているのか見破るつもりだ。

「ごちそうさま、騎士爵様。おもしろい遊びをしているようだが、どんな魔術を使っているんだ。【アキュレイト・スコープ】かい? それとも【シースルー】? ああ、あるいは外に使い魔でも放っているとか」

 特殊呪文(エクストラ・スペル)【アキュレイト・スコープ】。光操作による遠隔視。指定された座標の観
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