エイリアンVS陰陽師 宇宙人がなんぼのもんじゃい! 4
[8/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
結び、衆生の恐れや不安を取り除く効果を持つ梵語を唱えると、真唯の心から恐怖と混乱が消え去り、平静を取り戻した。
「どう、落ち着いた?」
「は、はい……」
「えっと、じゃあ少し聞きたいことがあるんだけど――」
屋久杉の欄間。床の間には桜の一枚板。
本物の藺草が使われた畳から匂う香りはどこか郷愁を誘う。笹岡邸の中は歴史を感じさせる空気に満ちていた。
天体観測中に空飛ぶ円盤を目撃したこと、自分以外の部員がその記憶を失っていること、謎の黒服たちにつけ狙われていること。
諸々の出来事を説明した。
「ふぅん、口封じするつもりにしちゃずいぶんと悠長で平和的よね。それにしてもなんであんたには記憶消去や精神操作が効かなかったんだろ。見たところ呪術者ってわけでもなさそうなのに」
霊力を練り上げ呪力をあやつる呪術者にとって精神修養は基本中の基本であり、そう簡単には意識を捜査されないように日頃から鍛練している。
そうでなければ甲種言霊をはじめとする操作系の術が存在する世界で生き残れない。
逆に言うと呪術に耐性のない一般人はおどろくほど簡単に心をあやつられてしまう。
「はい、うちは古い家系ですけど呪術とかそういう血筋じゃないです」
ふと、京子の目が床の間の掛け軸に止まった。
長い髪をした着物姿の女性が描かれていた。一見すると美人画のようだが、はだけた着物からあらわになった手足の先が鱗におおわれている。人ではない。
「…………」
妙に気になる。
「あ、それですか。なんでもうちの、笹岡家の先祖は川姫という妖怪なんだって、昔おばあちゃんが話をしてました」
「川姫……」
「ご存知、ですよね?」
「当然。あたしらをだれだと思ってるの、陰陽塾の生徒よ。そんくらい知ってる」
水棲の人型動的霊災はおおむねタイプ・ギルマンに分類される。河童や水虎、濡れ女や人魚などがそうだ。川姫もこれらの仲間で、おもに四国や九州の川や沼といった水辺に現れる女の妖怪だと伝承にはある。
「今から二〇〇年も昔の江戸時代のことなんだけど、川姫のひとりが人に化けて地上の世界を見物に来たことがあって、ほんの数日だけ歩き回るはずだったのに、その川姫は人間の男に恋をしてしまって里に戻れなくなったの。なんでかっていうと、川姫の里への入り口を開くには汚れを知らない若い娘が池の縁で鈴を鳴らさなければいけなくて、男と結ばれた川姫は鈴を鳴らせなくなってしまったのよ。でも、その川姫は故郷のことをどうしても忘れることができなかった。だから男との間にできた娘が一〇歳になったときに、池に連れて行って、自分の代わりに鈴を鳴らさせ、川姫の里へ帰って行ったそうよ」
「ふぅん、つまりあんた。笹岡真唯は川姫の子孫てわけね。……ねぇ、京子。これってばあれ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ