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東京レイヴンズ 今昔夜話
エイリアンVS陰陽師 宇宙人がなんぼのもんじゃい! 4
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川姫たちの装いは薄着で裾も短く扇情的であった。さらに水気を得た彼女たちの肌はみな一様にしっとりと濡れて妖しい光沢を放っている。

「と、とにかく今はグレイどもだ。とっととやっつけちゃおうぜ。――え〜と、川姫」

 着陸している円盤まで村の端から一〇メートル。円盤と村との間には遮蔽物がなく、いかに隠形しようとさすがにそこまで進めば気づかれる。

「隠形を維持しつつ遠くから狙撃して安全かつ確実に――」
「先制あるのみ! やつらうまい具合にかたまってるし、散らかってない今がチャンスよ。やつらには壁抜け、物質透過の能力があるから地面にでも隠れられたらめんどくさいし、あたしと夏目っちが攻撃呪術ぶっ放すから、それと同時に春虎が突っ込んで。あとは夏目っちが守り、あたしが攻め、春虎が白兵戦てのが基本で」
「よしきた、そっちのほうがわかりやすくて良いや」
「……そうですね、円盤に篭城される可能性もありますし、速攻で決めましょう」

 攻撃をしかけたり術を使おうとした瞬間に穏形は解ける。だが最初の主導権は確実にこちらのものだ。初撃でしとめる。
 難知如陰(知りがたきこと陰の如く)、動如雷霆(動くこと雷霆の如し)――。
 ぎりぎりまで距離を縮め、一気呵成に攻撃。夏目と鈴鹿の手から無数の呪符が放たれ、春虎が駆ける。

「――ッ!?」
 
 突如として出現した春虎たちに茫然自失、続いて周章狼狽。完全に機先を制されたグレイたちに情け容赦なく猛攻がくわえられた。

「吹けよ風、呼べよ嵐!」
「来たれ雷、奔れ稲妻!」

 風は木気か金気のいずれかに属する。夏目の放った金行符が強風を生じさせた。ただの風ではない、同時に投げた水行符から水流がほとばしり激流と化した。
 金生水。金気は水気を生む。金行符の呪力で増幅された水流は瀑布となって暴れ狂う。そこへさらに鈴鹿の放った木行符から生じた風が上乗せされた。
 水生木。水気は木気を生む。木気の風はたちまち雷と化した。

「「青白き閃光となりて駆け巡れ、符呪演舞・春雷の舞!」」

 陰陽術の基本思想である陰陽五行説において雷の雷気は木火土金水のうち木気に属する。雷の呪術は制御のむずかしさもさることながら、それ以上に呪力の消費が大きく並の呪術者が安易にもちいるのは困難だ。だが夏目と鈴鹿はふたりで分割して術を行使することにより負担を軽減したのだ。

 グレイたちにとってはまさに青天の霹靂。雷霆が渦を巻き、轟音と衝撃によって六体のグレイは電子機器ともども吹き飛ばされて消し炭と化した。
 余談だが「青天の霹靂」という言葉は陸游という南宋の詩人の詩句が語源になっているので、同時代やそれ以前の日本人。源平合戦の武士や平安貴族が口にするのは時代考証的に誤りである。
 
「――て、俺の出番は!?」

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