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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 8
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もありませんな」
「もしもあなたが彼らみたいなあつかいを受けたらどう思うの? 人としての権利も自由も奪われて、他人に服従して労働を強制されたり、家畜や物みたく売買の対象にされるなんていやでしょ。アガペーでしたっけ。『汝自身を愛するように、汝の隣人を愛せよ』てイエス様もおっしゃっているじゃない。キリスト教徒なのに博愛の精神や慈悲の心はないの?」
「ふんっ、あのような連中と私をいっしょにしないでもらいたい。奴隷や貧農、家畜に生まれたのは神の思し召し。すなわちやつらはその程度の存在として神が定めたもうたのだ。おのれの生まれを呪い、神の与えし運命を受け入れるべきですな」
これが当時の支配階級の人間の一般的な考えだった。
聖書のどこにも『他者を奴隷としてあつかってはいけない』とは書かれていない。それどころか奴隷制を肯定する記述がある。たとえば『エフェソ人への手紙』第六章や『テモテへの第一の手紙』の第六章では奴隷は主人を尊敬して喜んで仕えなくてはならないと説かれている。
ちなみにあの『アメイジング・グレイス』という世界的に有名な讃美歌を作詞したジョン・ニュートンという牧師≠烽ワた奴隷船の船長であった。
「そんなに連中を解放したいというのなら、お嬢さん。貴女がやつらを買い取って、そのあと自由にしてやればいい」
「人身売買なんて気が引けるけど、それが一番平和な解決手段みたいね」
「ひとり頭ジェノヴァ銀貨で一〇〇枚といったところですが、見映えの良い者や健康で力強い者はそれ以上、最高で銀貨五〇〇枚ほどいただきます。奴隷の数は六七七人ほどいますが、何人買い取りますか?」
この頃のヨーロッパでは金貨は一般には流通していない。これよりもう少し先、国際貿易がさらに発展して貿易量が多くなると銀貨だけでは不便ということになり、一二五二年にフィレンツェでフロリン金貨、ジェノヴァでジェノヴァ金貨、一二八四年にヴェネツィアがゼッキーノ金貨を――。
というように各国で通貨としての金貨を鋳造するようになる。金は銀の一〇倍の価値があり、金貨はおもに国際貿易の場で使用されたため、重さや品位は以後数百年間ほとんど変化はしなかったが、一方の銀貨は発行者の意のままに重さや品位がたえず変化した。
ものすごく大ざっぱに現在の価値にすると、この頃の労賃などから考えて、3・5グラムの金貨一枚が一二万円、一グラムの銀貨が三〇〇〇円くらいになる。
「……わかったわ、それじゃあきちんとお代を払って彼ら全員を自由にしましょう」
「全員ですと!?」
「ええ、六七七人全員よ。でも、あいにくとここで使えるおカネの持ち合わせがないの。金でもいいかしら、インゴット……、ううん、ナゲットで」
「金塊ですか? それでしたらおよそ○○リブラほどいただきます」
リブラというのは
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