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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 8
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感知でき、あらかじめかけていた呪が発動する。
「他人に自分のことを知られたくないから『私のことをしゃべるな』とかの呪をかけていたんだろう」
「うっかり口に出そうになったから呪が発動したってわけね」
「ああ、しかしわざわざ命まで奪うような強力な呪をかけるとは、えげつない。今回の敵は人の命をなんとも思っていないようだ」
「そのうえ実力のある呪術者みたいね。……これからどうするの? いまのであたしたちが普通の旅人じゃないってむこうにも知られたと思うけど、またなにかしかけてくるかしら」
「警戒して二度と手を出してこない可能性もある。やはりこいつらを手がかりにするしかないな」
「死体から情報を聞きだす呪術とか、あるわけ?」
「まぁ、そんなところだ。いささか邪法に近いがな」
月明かりに照らされて、地に座した秋芳が呪を唱えている。
館の中庭には祭壇が設けられ、その上にふたつに割れた石。双葉のように二枚に開いた貝。人という字が書かれたうえで二枚に切り離された紙。などなどが置かれていた。
それらの乗った祭壇の向こう側に人の死体が横たわられている。
臓腑をない、兇族の頭目の死体だ。
その体にはおびただしい量の文字が書かれていた。
漢字でも梵字でもない、奇妙な紋様のような字。
秋芳の低い声が潮の匂いのまざった夜気に乗って風にはこばれていく。
臓腑を失ったことによって腹部が異様にへこんだ全裸の体の表面にびっしりと奇怪な紋様が書かれているのは、ひどく禍々しい光景であった。
「祈願明鬼、祈願使鬼、祈願探心――」
秋芳は呪を唱えながら舞うように腕を動かし、祭壇の上にある二枚の貝を合わせた。
「祈願至生至死、祈願返鬼、祈願常傍――」
また、しばらく呪を唱えてから、こんどはふたつに割れた石の割れた部分を合わせ、ひとつの石にした。
びくり、と兇族の死体が動いた。
「きゃ」
離れた場所から秋芳のやっている奇怪な儀式をながめていた京子の口から思わず小さな悲鳴が漏れる。
「邪法に近いっていうか、邪法そのものじゃない……」
びくり。
びくり、びくり。
びくり、びくり、びくり――。
痙攣したかのように兇族の死体が動く。
「祈願鬼気招来、祈願使鬼創造――」
さらに秋芳は二枚に切り分けられていた紙を合わせる。切り離されていた字がひとつになり、人≠ニいう字がそこに形をなした。
兇族の死体の動きが大きくなり、ついに上体を起こした。
「うぅぅ……ぁぁぁ……、ウアァァァ〜」
うめき声をあげて右手をつき、膝を立て、立ち上がろうともがく。
「……っ!」
京子はあまりのことに声もない。
そして、ようやく兇族の死体は月光の中に立
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