暁 〜小説投稿サイト〜
レーヴァティン
第三十話 返還と賠償の後でその一

[8]前話 [2]次話
                第三十話  返還と賠償の後で
 久志達は淳二を連れてそのうえで団長のところに戻った、そうしてことの一尾始終を全て彼に話すと。
 団長は信じられない顔になりそのうえで彼等に応えたのだった、
「まさかな」
「こうなるとはですね」
「私も思いもしなかった」
 こう進太に答えた、彼の座から。
「五人目だったとはな」
「外の世界から来た者で」
「考えもしなかった、だが」
 その淳二、悪びれず軽い調子で自分の前にいるその彼を観てそのうえでの言葉だった。
「言われてみればな」
「怪盗であることもですか」
「有り得る、ハーデスの兜なら」
 姿を消せるその兜を持っていて被るのならというのだ。
「外の世界の者でないとな」
「使えないですね」
「そうだ」
 その通りだとだ、団長は進太に答えた。
「まさにな、そしてだな」
「はい、この者もです」
「卿等の仲間になりか」
「世界を救うころになるます」
「わかった、しかしだ」
「盗んだものはだ」
 団長は久志達の予想通りの返事で応えた。
「返しそして賠償もだ」
「返還と共に」
「しなければならない、さもないとだ」
「罪に」
「問わざるを得ない」
 団長のここでの言葉は強いものだった。
「そしてだ」
「その罪により」
「死罪を与えるしかだ」
 ここでも予想通りの言葉だった。
「ない」
「左様ですね」
「しかしだ」
「彼もまた外の世界から来た者であり」
「この世界を救う者の一人だな」
「そうなります」
「ではだ」
 この条件が備わっているのならというのだ。
「我々にしてもな」
「ことの次第は」
「収めてだ」
 その返還と賠償によってだ。
「罪を逃れてもらいたい」
「では」
「これまで盗んだ全ての財宝の返還と賠償を要求する」
 盗んだ被害のそれをというのだ。
「各諸侯や寺院等へのな」
「それ一つ一つ回ってかな」
「いや、我が騎士団がだ」
 つまり団長がというのだ。
「貴殿が盗んだ全ての家、修道院、騎士団にだ」
「渡すんだ」
「このことは約束する」
 間違っても自分達の懐には収めないというのだ、団長にしても騎士団を率いる者として誇りがあるのだ。
「絶対にだ」
「それじゃあ」
「ここに全て持って来てくれるか」
 淳二がこれまで盗んだものをというのだ。
「そして賠償金もだ」
「全部だね」
「そうしてくれればだ」
「おいらは罪を償った」
「そういうことになる」
「いい条件だね」
 ここまで聞いてだ、淳二は団長に笑顔で述べた。
「それは」
「そう思うか」
「だって普通はね」
「その場でだ」
「おいら打ち首か縛り首だよ」
 そうした処分になるというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ