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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
シーホーク騒乱 8
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ずからも疲弊していながらその日の夜遅くまで懸命に街中を奔走し、けが人の救助にあたる。
 シーホークを襲った災禍は、ようやく終焉をむかえた。





 閃光とともに遠見の水晶球が粉々にくだけ散り、間近で見ていたエレノア=シャーレットの顔に破片が突き刺さった。

「あら、やだ」

 無数の水晶片によって顔面をずたずたに傷つけたにもかかわらず、まるで服にお茶でもこぼしたかのような、のんびりとした声をあげる。

「こちらに、気がついた? 勘の良い殿方ですこと」

 顔にめり込んだ大小の水晶片が机の上にぽろぽろと落ちる。
 細胞が増殖し、神経が伸び、血肉が広がる。【ライフ・アップ】などの比ではない。ありえない早さでエレノアの傷ついた肉体は治癒されていく。

「勘の良さもさることながら、魔術も使わずに【トライ・レジスト】を発動していたようですが……」

 気を廻らして魔術に対する抵抗力、防御力を高めた秋芳の練気術はエレノアの目にはそのように見えた。

「異能力者かしら? だとしたらあの身体能力の高さもそのせい?」

 エレノアはカルサコフをずっと監視していた。
 組織のなかでも有能かつ危険と判断された者は蛇剣の刻印に特殊な処理をされることがある。
 ある者は致死性の毒を、ある者は特殊な爆弾を、ある者はギアス、あるいはカースを付呪され、裏切りや暴走に備える。
 カルサコフの場合は、悪魔だった。
 
「着いた早々に同志を処断してしまった時はどうしたものかと思いましたが、なんとか最後まで使えましたわね。……少しだけ、もったいない気がしますが」

 カルサコフを調整し教育を施したのはエレノア自身。
 調整の課程で刷り込んだ記憶が強烈すぎたのか、富裕層に対する憎悪が強すぎた気がするが、あの程度の歪みなど組織の擁す他の強化人間に比べれば微々たるものだと考えている。
 それゆえ少なからず愛着があった。
 愛玩用のペットとまではいかなくても、お気に入りの玩具程度には。
 
「あのゴーレムを相手にあそこまで奮戦するだなんて……。しかもあんなにも華麗にして剛毅、燕のように舞ったかと思えば獅子のような一撃をくり出す。帝都の剣闘士でも、あのように強く美しい剣技の使い手、いませんわぁ」

 だが、もはやカルサコフに対する愛着は消え失せた。代わりに秋芳への興味がふつふつとわいてくる。
 わいてくるのは興味だけではい、他の感情。いや、肉体的な情動が。
 秋芳の戦いを思い出し、脳裏に思い浮かべるエレノアの息が荒くなる。
 熱く湿った吐息を漏らすと、身体を震わせ、その手を自身の股間へとのばした。

「ああんッ!」

 もぞもぞと、身震いしながら両手を激しく、時に緩慢に動かしてみずからの身をまさぐる。

「あん
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