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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
シーホーク騒乱 8
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つき、潤滑油の役目をはたしていた。
斬撃、打撃、刺突。外部からのあらゆる衝撃を弱らせてしまい、剣や銃では分が悪い。
 秋芳とともに果敢に剣を振るっていた警備官のひとりが触腕の一撃で壁まで吹き飛ばされる。

「無理に近づいて攻撃するな、こいつには剣よりも魔術による攻撃のほうが有効だぞ!」

 だが強力な攻性魔術を使える魔術師の多くは総督府の攻防戦でカルサコフに倒されてしまっている。
【ブレイズ・バースト】や【ライトニング・ピアス】のような威力のある魔術の使い手はこの場にいないようで、【スタン・ボール】や【マジック・バレット】のような魔術が時おり飛んできては悪魔の身を傷つけるが、いかにも効果が薄い。

「《魔弾よ(アインツ)》! 《続く第二射(ツヴァイ)》! 《更なる第三射(ドライ)》!」

 ウェンディも必死になって習得しているなかでもっとも攻撃力の高い魔術を、【マジック・バレット】を矢継ぎ早に連唱し、収束魔力の光弾が次々と放つが、結果は悪魔の皮膚を焦がすのみ。焼け石に水だ。

(立ち向かうと決めましたのに、これではあまりにも無力ですわ! わたくしに力が、もっと大きな力があれば……!)

 それらにくらべて悪魔の唱える魔術は強力だ。

「《金色の雷獣よ・地を疾く駆けよ・天に舞って踊れ》」

 異形の身に唯一残っている人の部分。カルサコフの頭部が呪文を紡ぐ。

(木気の高まり、雷か!)

 錯覚である。
 実際は木気など存在しない。雷撃系の魔術を使用する瞬間のマナの構成や術式を秋芳の見鬼がそのように視させているだけにすぎない。
 それは秋芳も頭では理解しているが、とっさにそう思ってしまう。
 閃光と轟音、そして衝撃。
 無数の稲妻がほとばしり、雷球が荒れ狂った。
【プラズマ・フィールド】。術者の周囲に無数の雷球を展開し、周囲一帯を稲妻の嵐でなぎ払う電撃系のB級軍用魔術。電撃系のC級軍用魔術である【ライトニング・ピアス】の上位高等魔術だ。
 秋芳ほどではないが近距離で悪魔に攻撃していた警備官たちが稲妻になぎ払われ、一掃された。
 もう少し近くにいたり【エア・スクリーン】の加護を受けていなければ即死していたことだろう。
 では魔術の加護もなしに悪魔と接近戦をしている、雷陣の中心近くにいる秋芳の身はどうか。

(金剋木! じゃないんだよなぁ)

 もといた世界ならたやすく剋す、制することのできる攻撃にさらされるも、全身に気を廻らし、練らして、精神を集中することで魔術に抵抗。
 いわば生来の【トライ・レジスト】。それも三属エネルギー以外の、あらゆる魔術的な攻撃に対応する万能の防性能力。
 身体中をさいなむ電流に筋肉が収縮し、内臓が悲鳴をあげ、激痛が走る。だが総身から白煙をあげつつも、感電死はまぬが
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