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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 7
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あげ、灼熱の牙を突き立てる。

「我祈願、顕聖二郎真君。求借三尖刀!」

 水神である二郎真君の力を借りた三つ又の水刃がそれを迎撃、撃破。
 だが次々と霊災は踊り出る。押しよせる霊災の群れは人獣木石の姿をした瘴気の津波だ。この智羅永寿。フェーズ3どころかフェーズ4を使役しているにひとしい。
 対する秋芳は一人。すでに動かせる式神は手元にはなく、ひとりで応戦せざるをえない。

「――東海の神、名は阿明――」

 百鬼夜行避けの呪が効果をあらわし、多数の霊災を修祓、駆逐するも、それに抵抗する強力な個体も何体か存在した。
 瘴毒をまき散らす毛むくじゃらの病魔カワンチャが毒気の息吹を吹き、剛腕の闘鬼ターラカが暴れまわり、鳥人スパルナが高速で鉤爪を振り下ろし、妖猿オンコットが剣刃を振るう。

「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ! 斬妖除魔、降魔霊剣。疾く! オン・イダテイタ・モコテイタ・ソワカ!」

 薬師如来の小咒で毒を防ぎ祓い、霊剣を顕現して鬼の肉を裂き、韋駄天真言でもって神速の加護を身につけ高速の敵に対処し、肉薄してくる相手にはもちまえの武術で応戦する。

「?(バ)!」
「??(ヒリ)!」

 さらにそのうえで智羅永寿自身の呪も飛んでくるが、これも迎撃。
 式神を増やせばそれだけ操作がむずかしくなり、霊力の消耗も激しくなる。多数の式を放ったうえでなお自身も呪術を使用できるのはかなりの高等技術だ。
 終わりが見えない一進一退の呪術戦が延々とくり広げられた。

「……なかなかどうしてたいした手練れじゃないか、天竺でもここまでの使い手はいなかったよ。でも疲れてきたし、そろそろおしまいにしようか」
「そうかい、おとなしく退散してくれるとありがたいな」
「ああ、おとなしく退散したまえ、君がね。――??????」

 アガースラ。そのような異邦の言葉を口にした瞬間、巨大なあぎとが秋芳の上半身を飲み込み、かみ砕いた。
 隠形に特化した大蛇アガースラだ。京子のときとはちがい相手は生身だと確信していた智羅永寿はこれに勝利を疑わなかった。
 しかし――。
 半身をもがれた秋芳の身体はどろん、と煙と化して雲散霧消。かわりに五体満足の秋芳がすぐとなりに生じ、大蛇アガースラの身に剣指を突き立てる。

「禁妖則不能在、疾く!」

 妖かしを禁ずれば、すなわち在ることあたわず。
 全身の気をめぐらせ、高めた呪力がほとばしる。渾身の呪波がアガースラの身体を貫き、侵食し、消滅させた。

「これは、なんと……」

 仕留めたと思っていた相手の思わぬ反撃に、さしもの智羅永寿もこれには絶句。
 秋芳は自身の身代わりとなる式神を降ろしていたのだ。
 憑依型式神・煙々羅。
 一定以上のダメージに反応し発動。宿
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