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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 7
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「まぁ、なるほど。たいした威力だけれども天竺四千年の歴史の中にもあのくらいの呪術は存在するよ。『マハーバーラタ』にあるインドラの雷とか、もっとすごいんだから! 街ひとつが消し飛ぶくらいにさ」
「俺が言っているのはそういうことじゃない。人の死だ。破壊と殺人の感覚、耳障りな断末魔、血の臭い、すべてが神経に障る、実に不快だ。それに眉ひとつ動かさないなんて、人の死になれてるんだな」
「おやまあ! その不快な虐殺を生んだのはそっちじゃないか、それなのになに善人ぶってるのさ」
「善人ぶっているんじゃない、俺は善人だ」
はっきりと言い放った。
「武力をもって侵略してくる連中がいたならば、俺たちはおなじレベルで報復してもいい。せざるをえない。そうしなきゃ一方的に侵略されるだけだからな、俺たちはマゾヒストじゃない。やられたら、やりかえすさ。人様に手を出すのが悪い。手を出しておいて、こちらが抵抗するのはけしからん。と言うようなやつらにこちらが遠慮することはない」
そう言う秋芳だが争えば無関係の人々を巻き込むこともある、非がむこうにあると確信していても後味の悪さはどうしようもない。
「……一城を皆殺しにすれば他の城は戦わずにして落ちる。そうしたまでだ」
一罰百戒。先にこちらの強烈な意志をしめすことで、のちの小競り合いを禁じようとしたのだ。
一八六八年、江戸城は新政府軍に無血開城された。
無血というといかにも平和然とした言葉だが、この言葉の裏には強烈な闘志が隠されている。勝海舟は無抵抗で新政府軍に接したのではない。勝が提示したいくつかの条件のうち、ひとつでも新政府側が拒否・反故すれば城を枕に討ち死にせんという必死の覚悟があったからこそ、江戸の街は戦火に見まわれることから逃れたのだ。
命欲しさ、いくさ嫌さに弱腰で外交していたならば、新政府軍につけ込まれ、江戸の街はいいように蹂躙されていたかもしれない。
戦争は外交の失敗の産物というが、そもそも外交には他国を抑制する軍事力が少なからず必要であり、武力なくして平和は守れない。
一方的に侵略してくる相手に、話し合いなぞ通用しないのだ。
ならば、戦うしかない。
「強大国が弱小国に侵略するのは悪で、それに抵抗するのは善であり正義だ」
「墨子の考えだね、ならばその墨守の思想であらがって見せなよ! ――オン・牛頭・デイバ・誓願・随喜・延命・ソワカ!」
三鈷印を結び、天竺にルーツがあるとされる異貌の仏神の真言を唱えた智羅永寿の身体から瘴気の渦が舞い上がり、空気を泡立たせた。
陰なる呪力が大気に浸透し、五気の調和を破壊する。
そこから無数の動的霊災が生まれた。
「GAAAAAッッッ!」
全身に炎をまとった獅子とも虎ともつかない魔獣ドゥンが咆哮を
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