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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 7
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果を発揮した。
魅了の呪。
美男美女が異性をたぶらかすかのように人の心をぼやけさせ、判断力をうばう。
たとえ相手が憎むべき敵であろうとも呪の力が心から信頼できる友人や恋人に変えてしまうのだ。
特に意識したわけではないが、女性である包道乙と鄭彪に、それは強く作用した。
卑猥な唇。
淫猥な舌。
淫靡な瞳。
性的な声。
淫乱な腰つき。
艶麗な頭形。
妖艶な吐息。
淫らな手つき。
筋肉質な腕。
官能的な脚。
刺激的な胸筋。
艶やかな爪。
悩ましげな指先。
欲情をそそる匂い。
性欲をそそられる扇情的な服装――。
フェロモン全開の細マッチョな悩殺ボディはメスをムラムラさせる、実にいやらしい……。
と、魅了の呪がかかった包道乙らには秋芳の姿がそのように見えた。
「あら、いい男」
「惚れたッス!」
目にハートマークを浮かべて左右からしなだれかかる。
「呪術の腕前は超一流。優美にして剽悍。趙子竜や蘭陵王の再来かと思いましたわ」
趙子竜。『三国志演義』の趙雲については説明の必要はないだろう。蘭陵王とは中国の南北朝時代、北斉の高長恭という驍将のことで、女性と見まがう美貌ゆえまわりの将兵が見とれてしまうので戦場に立つときはおそろしい仮面をかぶっていたという伝説がある。蘭陵王入陣曲という雅楽のもとになった人だ。
「あなたの子どもを産みたくなりましたわ。あたくしのお婿さんになってくださいまし」
「あ、それならオイラをお妾さんにして欲しいッス。どっちが先に孕むか競走ッスよ師匠」
包道乙も鄭彪も凄腕の術者であり、本来ならばこのように簡単に魅了されはしないだろう。だが未曽有の大呪術を目のあたりにしたことに動揺し、心の間隙を突かれていとも簡単に籠絡されてしまった。
単純に呪術への抵抗力があっても、心そのものにすきが生じたり、くじけてしまっては意味がない。ほんの一瞬のおびえやひるみ、弱気が一発逆転、起死回生の致命傷になってしまうのだ。
秋芳は京子の大呪術を種に自分の呪術を成功させた。いわば呪術版の連環計といえる。
「ふたりとも、そこで伸びている方臘をつれてここを離れろ。……そうだな、河南省の開封市に永福観という名の道観があるから、そこで俺が行くまでおとなしく待っていろ。十日ほどしたら顔を出すから、そこで今後のことを話し合おうじゃないか」
自分が精神操作している相手にほめそやされ、モテてもむなしいだけだ。ありもしない道観をでっちあげ、そこへ去らすことにした。
術の手ごたえからして効果は三日ほどで切れるだろうが、その前にこの戦争は決着するだろう。そうなればステージクリアだ。
「お待ちしておりますわ、愛しいあなた」
「おとなしく待ってるから
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