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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 7
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ふっふふ、着眼大局のなき匹夫めが。剣一人敵、不足学という言葉を知らんのか。個人の力には限界があるものぞ」
「あらあら、ずいぶんと余裕ですこと。自分が置かれた状況が理解できなくて?」
方臘の摩尼真言はますます呪力を増し、包道乙が紫の双髪を揺らして手にした宝剣を振るえば呪力の刃が飛んでくる。金色の魔甲に身をつつんだ鄭彪の打撃はすさまじく、さすがに秋芳も無傷とはいえない。
「もうひとりいる女人の術者に助けを求めたらどうだ。高廉(こうれん)を軽くあしらい智羅永寿(ちらようじゅ)を手玉にとったほどの実力。この太上準天美麗貴永楽聖公方臘の相手にとって不足はない」
「すでにたのんである」
「ほう? なにをだ」
「俺ひとりでは手にあまる、いや。俺ではあつかえないような大呪術を使ってくれるようにな。――禁呪則不能使術、疾く!」

 呪を禁ずれば、すなわち術を使うことあたわず。
 不動金縛りとおなじ不動法にある結界護身法と同種の術で、呪的霊的影響力を完全に遮断する術で、本来は相手の呪術の使用を禁ずる。封印するための呪禁の術だが、秋芳は術式に手をくわえて変更し、自分自身に対して使用した。

「それは……!? だがしかし諸刃の剣ぞ!」

 絶対呪法防御(アンチ・マジック・シェル)。
 この呪術が発動しているあいだは他者の呪術だけでなく自身の呪術も無効化されてしまうのだ。

「それに見たところ、その術が効果を発揮するのは術≠ノ対してだけではありませんこと? たとえばっ」

 包道乙が手にした宝剣を無造作に振るった。
 中国の四大奇書『水滸伝』に登場する包道乙。
 金華山に住み幼少の頃に出家して呪術を学び、のちに方臘にしたがって謀叛をおこし、戦場に立てば妖術を使い相手を倒した。玄天混元剣という宝剣を持ち、これを振るえば百歩はなれた相手を討つことができる。
 という設定だ。
 その玄天混元剣の切っ先から白銀の閃光が奔り秋芳を襲う。
 寸前でかわした足もとの地面を切り裂いた。

「これこのように、呪具による攻撃は無効化できないご様子。方臘どのの呪術を制することはできてもあたくしの呪具と鄭彪の打撃はそのまま通用しますわ。防御を固めたつもりらしいですけど、かえって逆効果ではなくて?」
「呪術がまったく使えないぶん、おまえのほうがあきらかに不利ッスよ!」
「なぁに、これでいいのさ。おまえたちこそ呪に対する守りを固めたほうがいいぞ。巻き添えを喰らって死ぬのはいやだろう」
「いったいなにを言って――、ハッ!?」
「こ、この気は!」
「な、なななっ、なんッスか!?」

 京子の儀式呪術が発動し、天地に満ちる霊気に異変が生じた。
 木火土金水。五気のすべてが異常なまでの昂ぶりを見せている。
 地震と台風と津波と火山の噴火が同時に起きて
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