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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 7
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はヒトラー総統に撤退の許可を求めたが、返事は「勝利か、然らずんば死を、ドイツ国民は期待する」「最後の一兵まで勇戦すべし」という内容のものだった。全滅を賭して戦えという非情なものだ。 
 しかしロンメルはヒトラーの命令を無視して後退。このとき彼はヒトラーの電文を「最後の一発まで」と書きかえて発表した。ロンメルは現場の総指揮官として部下の生命を祖尊重したのだ。兵士は駒ではない、家族のいる生身の人間なのだから。
 ドイツでは全滅を要求する命令はこうして無視されたのだが日本はちがった。
 一九四三年、アメリカ軍は日本軍が前年に占領したアリューシャン列島のアッツ島に攻撃。制海権をうばって日本側の補給を断ち、アッツ島守備隊二五〇〇人は完全に孤立した。
 とうぜん増援が必要になったが、輸送船を送ってもアメリカ軍に三分の二は沈められると予想された。だとすれば防備に必要な四〇〇〇人を島に送るためには一万二〇〇〇人のうち八〇〇〇人は失う覚悟で送らなければならない。しかも一万二〇〇〇人分の武器弾薬、食糧もふくめてだ。
 大本営は焦燥した結果、アッツ島を二五〇〇人ともども見捨てる決断をした。
 本来ならこういう場合、現地の指揮官にあとはすべてまかせてしまうものだ。つまりある程度は戦い、その後は降伏してもよいという裁量をあたえるものだが、大本営はそうはしなかった。彼らは守備隊に対して玉砕して皇国の精神の昇華を見せろと命令した。日本軍が玉砕という言葉をもちいたのはこれが最初だ。
 見捨てておいて、しかも死ねなどという無情な命令を、守備隊指揮官の山崎保代大佐は受け入れた。守備隊は陣地を出て二万のアメリカ軍に突撃するも、疲労と空腹で朦朧とした身でアメリカ軍にむかっていたったのだ。その哀れな姿を見かねたアメリカ側が降伏してくれと頼み込む始末だったという。
 それでも日本軍は攻撃をやめない。しかたなくアメリカ側は応戦し、守備隊は玉砕した。二五〇〇人のうち、生存者は三七人のみ。これは負傷して意識不明だったところをアメリカ軍に捕らわれたためだ。
 このあと日本軍はサイパンなどの太平洋上の島々で玉砕していくことになる。日本兵は先陣訓などで生きて虜囚の辱めを受けず。などと教育され、自分が捕虜になることは家族や故郷に至るまでの恥と考えていたため、玉砕を受け入れたのだ。
 また大本営の幹部たちは自分たちの作戦指導のまずさを隠蔽するため玉砕命令を濫発していった。
 一九〇四年から五年までの日露戦争で日本軍は「規律正しく、国際法を守るりっぱな軍隊だ」と諸外国から賞賛されたものだが、それからわずか半世紀も経たないうちに日本軍、特に首脳部は味方を平気で見捨てるまでに落ちぶれてしまった。

閑話休題――。

「……こんな短期間に続けて大規模な攻性儀式呪術を使うだなんて、いったい宋には達
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