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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 7
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その直後に神道系の術をもちいる。まさに土御門夜光が編み出した帝国式陰陽術ならではのバーリトゥード(なんでもあり)ぶりだ。

「星神よ、宙空の住者よ、星々の子らよ。はるかな世界へと至る回廊を開け。天空に輝ける星々の子らよ、わが召喚に応じ、疾く集い来たりて中空を裂く剣となれ、大地を打ち砕く礫となれ、わが敵を撃つ雷火となれ――。急々如律令(オーダー)!」

 京子の身体からふたたび膨大な呪が放たれた。





 元の軍勢が目前にせまったとき、それが起きた。
 空を切り裂いて無数の灼熱の火球が落下し、軍勢のそこかしこに突き刺さったのだ。
 この世のものとは思えないすさまじい轟音と閃光をあげて爆発し、周囲に火礫を飛散させた。
 評定の間で「空を落としてみせます」と豪語したとおり、まるで天がくずれ落ちてきたかのような隕石群(メテオ・スォーム)の雨。
 一瞬のうちに元軍の戦力は半分以下となった。実際に倒れた者は四分の一程度ではあったが、突然の災厄に動転し戦うどころではなくなってしまった。

 全滅。
 この言葉を辞書で引くと『すべて滅びること、滅ぼすこと。また、すべて失敗に終わること』などとある。だからアニメや漫画などで『全滅した』というと一兵残らず戦死したと思いがちだが実際の戦争である程度の部隊がひとり残らず死ぬ、などということはない。最前線に派遣された小隊や分隊の場合は別だが、作戦参加者がすべて死ぬようなことはほとんど起らない。
 実際の戦争での全滅とは作戦実施部隊、あるいは守備隊がその兵力の四〇〜五〇パーセント損耗することである。そこまでやられた部隊にはもう組織的抵抗力がないと判定されるのだ。この損耗≠ニいうのには戦傷者もふくまれる。戦えなくなった者は生死を問わず損耗なのだ。
 この場合、司令部は部隊を撤退させるか援軍を送るかの決断を迫られることになるが、こうなってはたいてい援軍など間に合わない。
 勝っている側にすれば敵の組織的抵抗力さえ奪えばそれで勝利なので、なにも一兵残らず殺す必要ははい。それどころか全滅を図れば必死になった敵の猛反撃を受けて余計な被害を出しかねない。
 もちろん歴史上の戦いの中には相手の全滅を企画したものがなかったわけではない。一〇九九年、第一回十字軍はエルサレムを陥落させ、そこにいた異教徒たちを非戦闘員もふくめて虐殺した。軍事的必然性からではなく十字軍が持っていた宗教的陶酔の結果だ。
 しかし全滅するまで戦えという命令が出されたことはある。
 第二次大戦中の一九四二年、北アフリカのエル・アライメンでエルヴィン・ロンメル元帥率いるドイツ・リビア方面軍九万六〇〇〇は二〇万のイギリス軍に攻撃された。武器弾薬がとぼしいなかドイツ側は善戦したが数の差はどうしようもなく戦況は不利になった。そこでロンメル
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