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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 7
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主を致命傷から守り、攻撃を煙に巻く℃ョ神。
 呪術というものは格闘技などの体術とは異なり、基本術者がはっきりと意識していなければ発動できない。だからこそどれほど腕の立つ呪術者だろうと不意を突かれれば為す術がない。護法式というものは不意打ち対策のために生まれた式神といっていい。
 気配を消し、いざというときに術者の身を守る。
 この煙々羅は身代わりに特化した護法式だ。

「おのれ、よくも自慢のアガースラを……!」
「隠形に長けた式を持ち歩いているのはおまえだけじゃないってことだ」

 もはやたがいに手持ちの式はなく、純然たる呪術戦になろうとした、そのとき。

「む」
「ん」

 たがいの動きが止まった。
 おびただしい量の気の動きを感じたからだ。
 軍気。
 兵士たちの発する闘争の気が元軍と宋軍、それぞれの陣営から流れてくる。

「進め、進め! 次なる妖術を使わせるな。いまなら一気に突き崩せるぞ!」
「秋芳先生のおかげで妖怪どもは退治されたぞ。人相手はわれらの仕事、韃靼人どもを蹴散らせ!」

 両軍が押しよせてくる。
 宋軍は士気高々といえども元軍とは数がちがいすぎる。まともにぶつかれば勝ち目はない。

「元軍め、あれだけ大きな被害を受けてなお攻めてくるのか!」
「あれだけの規模の儀式呪術、そうそう連発はできないゆえ攻め入るならいまとでも、生き残った呪術者が進言したんじゃないかな。まぁ、実際そうだよね」
「ああ、そうだな。兵法において巧遅は拙速に勝るという。だが今回はそうじゃない」
「なんだって?」
「こっちは最初から次≠用意しているんだよ」

 轟音とともに天空を切り裂いて灼熱の炎につつまれた無数の巨石が落下してきた。





 五体の明王に祈祷していたのとは別の場所、別の祭壇の前で京子が祝詞を唱えている。

「――天勝国勝奇魂千憑彦命(あまかつくにかつくしみたまちよりひこのみこと)と称へ奉る、曾富戸(そほど)の神、またの御名は天津甕星(あまつみかぼし)の神、是の斎庭(ゆには)に仕へ奉れる、正しき信人等(まめひとら)に、御霊幸(みたまさちは)へまして、おのもおのもの御魂に、勝れたる神御魂懸らせたまひて、今日が日まで知らず知らずに犯せる、罪穢過ちを見直し、聞き直し、怠りあるを許させたまはむことを、国の大御祖の大前に詔らせたまへ――」

 天津甕星。
 またの名を天香香背男( あめのかがせお)、あるいは星香香背男(ほしのかがせお)。
 日本神話に登場する天空と星々を司る神であり、武甕槌命(たけみかづちのみこと)経津主神(ふつぬしのかみ)ら天津神の天孫降臨に最後まで抵抗した、まつろわぬ悪神ともされる存在。
 大いなる天空の神への怨敵調伏祈願だ。
 密教系の術をもちいた
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