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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 7
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妖怪退治は道士の役目。ここはこの秋芳にまかせていったん退いて休息してください。妖怪どもを祓ったら私もすぐに退きます」
「……あいわかった。秋芳先生、どうかご無事で」
名将は引き際を心得る。これ以上の深追いは危険と判断した張世傑は宋兵を後退させた。
「――東海の神、名は阿明。西海の神、名は祝良。南海の神、名は巨乗。北海の神、名は禺強。四海の大神、百鬼を避け、凶災を蕩う。急々如律令!」
あとに残った秋芳は霊災修祓にすこぶる効果のある百鬼夜行避けの呪を唱え、妖物たちを根こそぎ蹴散らした。
だがまだそれらを使役していた呪術者たちがいる。
彼らを無力化すべく見鬼を凝らして戦場を見渡すが、いままでの呪術戦でさんざんその実力を見せつけられ、いままた数多の妖物を修祓した秋芳に恐れをなし退散したようだ。
三人をのぞいて。
「――清浄光明、大力智慧、無上至真、摩尼光仏――」
摩尼教に伝わる真言が陰々と唱えられると、どろりとした呪力の風刃が秋芳の身に襲いかかった。
「以金行為鉄壁、防げ。疾く!」
漆黒の魔風の前に金気を帯びた呪壁が立ちふさがる。
風は木気か金気。そのいずれかに属するが、秋芳は漆黒の風刃が木気を帯びていると瞬時に見抜き、金剋木。五行相剋の理にもとづき金気でもって打ち消した。
相反するふたつの気に天地が揺れる。
「縛!」
強烈な不動金縛りの呪が秋芳の身にせまる。
「禁!」
まともに対処していては間に合わない。術を禁じる呪を放って相手の呪力を相殺しつつ、飛びすさり不動金縛りの効果範囲を抜ける。
「
?呀
(
ハイヤ
)
ー! 伏虎十八掌ッス!」
着地した瞬間にくり出された乱撃を右にさばき左にそらし防御する。
方臘、包道乙、鄭彪。三人の呪術者がそこにいた。
「宋に加担せし不逞の左道使いだな、いまここで拙僧らが引導をわたしてくれよう」
「先日はよくも下品きわまりない呪をかけてくれましたわね」
「身代わりの術なんて卑怯ッスよ」
元軍側でも屈指の呪術者たちが秋芳の前に立ちふさがった。
火焔が渦を巻き、雹が舞い、風が疾り、雷が迅る。
土塊が乱れ飛び、霊刃が飛び交い、水流が吹き荒れる。
突く、蹴る、打つ、つかむ、投げる、固める、極める。
呪術による攻防が繰り広げられるいっぽうで、拳と脚が目まぐるしく交わされる肉弾戦も展開された。
三体一の戦い。
これはさすがに秋芳のほうがあきらかに不利で、防戦一方だった。
しかし――。
「……こっちのほうがいいな」
「なに?」「なんですって?」「なんッスか?」
「集団でのドンパチチャンバラは俺の性に合わん。やはり戦い(ケンカ)は自分自身の手足を使ってやるほうがいい」
「
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