ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
1章 すべての始まり
4話 救出劇と再会
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世界から消滅した仲間を思っているのか、それとも現実世界を思っているのか。
やがて、リアは彼の隣に膝をついて彼の黒髪をそっと撫でた。
リアのその行動を機に、部屋には彼が発する鳴き声が響いていた。
「すみません、あんなみっともないところを見せてしまって」
彼の頬は恥ずかしさからか、赤く染まっている。リアは首を振った。
「いいよ、気にしないで」
リアの隣で、少しながらツカサもうなずく。それを聞いて、彼も少し安心したようだった。そして思い出したように言う。
「今日は本当にありがとうございました。あ、俺はキリトです」
「私はリア」
「ツカサだ」
キリトと名乗った少年はリアの名前を聞くと大きく目を見開いた。
「へぇ、キリトっていうのね…どうかした?」
キリトの様子に気づき、リアが声をかけるが、キリトは首を振った。
「いえ、俺の従姉と同じ名前だったので」
「……」
リアの表情もぴたりと止まり、キリトの顔をまじまじと見た。
「…ねぇ、ルール違反で申し訳ないけど、その従姉さんって、今どうしてるの?」
ネットゲームの世界では、リアルのことを聞いたり詮索したりするのはルール違反という暗黙の了解がある。ある程度はネットゲームをたしなむ彼女ももちろんそのルールは知っていたが、それを破ってでも、知りたかった。
「…彼女の母親の仕事でシリアへ行って、そこでテロに巻き込まれて…なくなりました」
「……?」
亡くなった、と聞けば、誰もが「ごめんなさい」という感じになるだろう。しかし、彼女違った。たっぷり5秒は停止した後、かすれ気味の声で聞く。
「……もしかしてだけど…和人?」
「…え?」
二人の視線が交差し、フリーズする。やがてキリトの口から小さな声が漏れる。
「りあ、姉?」
リアがゆっくりとうなずく。
「そうだよ、和人」
そういって、和人の体を引き寄せ、抱きしめた。フリーズしていたキリトも、そっとその背中に手を回す。
「ほんとに、ほんとにりあ姉なんだよな?幽霊じゃないよな?」
「うん。ほんとにほんとに私だよ。ちゃんと生きてるよ…」
現在、リア、ツカサ、キリトはNPCレストランに入り、向かい合って座っていた。キリトの目は今でも信じられないという色が浮かんでいる。リアの表情も明るい。が、唯一混乱していたのはツカサである。ツカサは全く状況がつかめずにいた。
「あー、水を差すようで悪いんだが、リア、俺にもわかるように説明してもらっていいか?」
「ああ、ごめんごめん。ほら、前に話したでしょ?私の従妹の和人」
「…ああ。思い出した。リアが可愛がってたっていう」
ようやくツカサも合致したようだった。
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