遺体のない葬儀編-2-
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の人々は彼に頑張れなどと声援を送る。
この国にとって騎士とは、英雄のような存在なのだ。
「この道を真っ直ぐ進んだ先に目的の店がありますよ」
ムラクモが指さすのは?華街から離れたとある裏路地。
溝鼠などが沢山いそうな薄暗いだ。でも目的の本屋へ行くにはこの道を通って行くしかないため仕方なく通ることに。
案の定、鼠と蜘蛛の巣だらけの最悪な道だったが。
†
ムラクモに案内の元に薄暗い裏路地を歩いていると一歩の通りへと出た。
目の前には寂れ朽ち果てたような、潰れかけの本屋が一軒建っていた。
「まさか」
「……ここ?」
いやそんなまさかね……と、苦笑いし顔を見合わせていると
「いえここですよ」
きっぱりとした口調でムラクモは言い切った。
……まさかこんなまだやっているのか、もう潰れているのかも分からない本屋に連れて来られるとは思ってもみなかった。
「見た目はこんな、ですが品揃えは評判良いんですよ?」
苦し紛れの言い訳のように言っている。
まあ確かに人は見かけによらないと言うし、本屋だって外観だけで判断してはいけないのかも、しれない。
「気に入る本があればいいね」
横にいるシレーナに声をかけると
「……ん」
頷きカラカランとドアを開け本屋の中へと入って行った。
シレーナにとっては本屋の外装なんてどうでもいいことだったようだ。
興味があるのは置いてある本だけ。新しい本との出会いだけのようだ。
なんというか素直な子だ。
先に入ったシレーナの後に続けて本屋に入ろうとすると
「それでは私はここから少し離れた場所で待っているので終わったら声をおかけください」
そう言ってこの場から離れようとするムラクモを呼び止めると
「私はこの店には入れないんです」
振り返えらないまま寂しげな声で彼女は答えた。
「一緒に来ればいいのに……へんなの」
不思議そうな表情で去ってゆくムラクモの背中を見つめるランファにルシアはそうだねと言い頷く事しか出来なかった。
本当は知っている。昨夜ムラクモが話してくれたドラゴンネレイドと壊楽族の因縁の話に関係しているのだろうと。
でもそれを何も知らないランファに教えることは出来なかった。
言えない理由は自分でもよくわからなかったが、この事実は自分の胸の中にそっと仕舞い込んでいた方が良いと思ったから。
ランファの身体をくるりと回転させ背中を押してシレーナを追いかけ本屋の中へと入った。
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