遺体のない葬儀編-1-
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………」
読書に夢中の彼女にその心の声は伝わらない。
ああこんな時に意思疎通ができるアイテムなどあったら便利なのに!! なんて思ってみたが此処にはそんな便利アイテムを出してくれる人もロボットもいない。
そもそもそんなアイテムすら存在しない。
とほほ……とため息をつきはしゃぐランファの遊び相手をしていると不意に
「あと……もう少し」
シレーナがぼそりと呟いた。
「本当!?」
嬉しくなってシレーナの方を見るが彼女はまだ本を見つめたまま。
それでもいいや。一人で大きな子供のランファの相手をするよりかはずっと良い。
ランファのことは別に嫌いでも苦手でもないが、インドア派のルシアにはアウトドア派のテンションにただただついていけない、それだけの事でありそれ以上に大事な事。
「まっち、まっち、街探索ー」
よっぽど楽しみなのかルシアの腕を掴み左右に揺らしながらランファは即興ソング[街探索の歌]を楽しそうに歌っている。
なんでルシアの腕を掴んで歌っているのかは分からない。苦笑いしか出来ない。
「あ」
どうせ街探索するならと
「大きな街なんだからきっと、隣町にはなかった大きな本屋さんとかあるんじゃないかな?」
百貨店やら専門店とか……と付け加えて。
「新作との出会い?」
ずっと本に夢中だったシレーナがやっと本から視線を外し、しっかりとルシア達を見た。
その目は爛々とし
「……すぐに犯人……逮捕する」
と、言ってまた本へと視線をうつした。
なんの本を読んでいるのかと少し思っていたが、どうやら刑事か探偵が主人公の推理小説だったようだ。
本屋なんてつまらないとはぶてるランファとまた他愛のない話をしていると、コンコンと軽くドアをノックする音が鳴った。
「えっと。お……おはようございます。朝食がご用意出来ましたのでお持ちした……そうです」
ドアの向こう側から聞こえてくるのはぎこちなきく、そして語尾が変なムラクモの声だ。
普通はいるかどうか聞いてから持ってくるはずの食事を聞く前に持ってきてしまった事への罪悪感と、そもそも持って来たのは自分ではなくおそらく宿の従業員なのに自分が持って来たことにされどう言えばいいのか分からない困惑した気持ちが混じりあった結果の言葉だったのだろう。
「はーい。今開けますね」
ドアを開けてあげるとなこれを僕達が食べても良いんですか? と、聞きたくなる豪華絢爛お食事をのせた台車を押してムラクモが部屋の中へと入って来た。
その顔は浮かない。
「うっひょーい」
先程まで本屋はつまらないから嫌だとかなんだとか散々文句を言っていたランファは目の前に現れた豪勢な朝御飯に舌なめずり。
「いっただきまーす」
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