ep8 技術屋の意地
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時間がない。ビリー・カタギリは自分にそう言い聞かせながらMSの改造作業を続けていた。
国連軍によるソレスタルビーイング掃討作戦『フォーリンエンジェルス』はすでに始まっている。あいにく戦況はここまで届かないが、急がないとビリーの友人の出番がなくなってしまうかもしれない。
ビリーは手をつけている機体を見上げて呟いた。
「あとは機体にエンジンを装着するだけかな」
耐ビームコーティング仕様に黒く塗られたユニオンフラッグカスタムは、バックパックの形状が通常と違う。大型フライトユニットはごっそり廃し、専用エンジンーーGNドライヴのためのパーツを急造してある。
ソレスタルビーイングの裏切り者が3国家群に提供した、ガンダムの動力源とそれを積むMS30機。だが、ビリーの友人はその機体を拒んだ。彼はフラッグを駆ってガンダムを倒すと言って聞かなかった。
そんなユニオンのトップガンに、ビリーは思わず笑ってしまう。
「全く、頑固もあそこまでいくと気持ちいいくらいさ」
そのとき、整備場のドアが開いた。ビリーはこちらに向かってくる足音から相手を察し、顔を向けずに話しかける。
「20分に1回くらいの頻度でくるけど、状況は大きく変わらないよ」
ビリーが振り向くと、そこにいたのはやはりグラハム・エーカー上級大尉だった。しかし、彼の顔はいつもと違って強張っている。怒りや悔しさ、闘志が入り混じったその顔つきには見覚えがあった。
「何かあったのかい?」
「……ダリルがやられた」
ビリーは次の言葉を思いつけず、口を噤んだ。恐らく、グラハムも慰めや鼓舞は望んでいないだろう。
グラハムの右腕とも言える男、ダリル・ダッジ准尉。彼は悔いを残したままフラッグを下り、ガンダムとの最終決戦へと向かった。そんな彼もまた、グラハムの元から消えてしまった。
ビリーは作業を再開する。戦いの状況はどうあれ、フラッグの改造はまだ終わっていない。作業を止めるわけにはいかなかった。
背後からグラハムの声が聞こえてくる。
「私は単に報告をしにきたわけではない。私の中に燃え上がるガンダムへの思いを、フラッグに注入するためにやってきた」
「そうかい。頑張って」
「言われなくともそうするつもりだ。ガンダムは私の顔に何度も泥を塗った。その報いを私の手で晴らしてやりたいのだよ」
「きみならできるさ」
ビリーは手元の機器でGNドライヴと機体のマッチングを確認する。現実的に見ると、機体はアンバランスな状態で仕上がる形となる。何しろ規格外の機体に動力を取りつける突貫工事だ。
「グラハム。機体は変形不可能だからね。ただでさえ機体の状態は劣悪なんだ。ビームサーベルとGNドライヴ
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