シーホーク騒乱 7
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「《守人の加護あれ》!」
火炎による熱で肺と喉が灼ける前に、延焼によって窒息する前に唱えた【トライ・レジスト】によってカルサコフは炎の害から逃れることに成功した。
対抗呪文(カウンター・スペル)【トライ・レジスト】。
三属エネルギー(炎熱、冷気、電撃)のダメージを確実に軽減する符呪の対抗呪文。あくまで三属に対する軽減であり物理的防御力は皆無。
だが魔術による作用以外にも効果が発揮されるため、汎用性が高い。
炎天下の日射病対策や日焼け止めに使用したり、極寒での凍死も防げる。冬場の静電気対策にも使えることだろう。
どの程度まで軽減できるかは術者の腕によるが、一流の使い手ともなれば燃え盛る火の海の中でも自由に行動できる。
全身を炎につつまれていても、カルサコフにはなんのダメージもない。
「くだらぬ小細工を! 炎などなんの意味もないわ!」
炎はむしろカルサコフの闘志を猛らせたようだ。火だるまと化した身体で猛然と打ちかかる。
「うわっ、あちちちッ!?」
紙一重で避けようものならまとった火焔に炙られる始末。まるで炎の衣をまとい、術者の周囲の者を火炎で攻撃する黒魔【フレイム・クローク】でもかかったかのようだ。
蒸気機関が熱を利用して動くように、熱というのは力を発生させるための重要な要素である。
スターリ・ルイーツァリにはそのような機能はないが、カルサコフ自身の精神は炎により昂り、火炎の勢いに後押しされたかたちで猛進する。
「ニチェボー! 炎を身にまとう。これは案外良いアイディアかもな」
壁面に追い込まれた秋芳は熱気に辟易しつつ攻撃を的確に避ける。ルイーツァリの殴った壁に亀裂が生じた。
「……油をまいて火を点ける。いい考えだと思ったんだが、その手の魔術があるとはね。やはり学院に入ってきちんと学ぶ必要があるな」
秋芳はそのまま壁際を移動し、ふたたび追走劇がはじまった。
「カモとかいう東方人、おまえとの戦闘は良いデータが取れるが、そろそろおしまいにしようじゃないか」
炎などなんの意味もない。
そう断言したカルサコフではあるが、炎熱によって外部センサー機能がいちじるしく低下していた。センサーはメインカメラで見えない部分を補正して可視化する重要な機能だ。ただでさえ先ほどの一撃でメインカメラは破損し、モニターに映る外部の映像は不鮮明になっている。
当然命中率も低下する。
「こちらの命中率が落ちたのなら、相手の回避力を下げればいい」
センサー機能の低下により雑になってはいるが、周囲の地形がモニターに映し出されていた。
「このまま追い詰めていけば袋小路だ。せまい空間に押し込めれば自慢の体術で避けることもできまい。詰みだ」
秋芳はカルサコフの思
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ