エイリアンVS陰陽師 宇宙人がなんぼのもんじゃい! 2
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めた立派な泉で、馥郁たる香りがただよってくる。手ですくって飲んでみると、なんとそれは酒であった。
あまりの旨さにさらに酒を飲んでいると。
「此はいかなる人の来れるぞ」
と声がする。気がつくと僧の周りに郷の者たちが立っていた。
道に迷ったことを告げると、郷の者のひとりが前に出てきて僧の手をとり大きな家へと連れて行く。
その家の主人らしき人が出て僧を見てなにやら指示を出すと、また手を引かれて家の裏に連れて行かれた。
剣呑な気配を察した僧が殺すつもりかと問うと、はいと言う。
他所から人が来た時は、帰ってこの郷のことを他言させないよう、殺すことにしているというのだ。
仰天した僧は必死になって助命嘆願したところ、僧侶を殺すのはやはり抵抗があると言って、帰る道筋を教えて僧を逃がした。
しかしこの僧、かなり口が軽かったようで、無事にもどってからこのことを会う人合う人に吹聴してしまう。
すると若い者たちが一〇人ほど集まり、その酒泉の郷へ連れて行くよう僧にせまった。
最初は拒否していた僧であったが、「我らはいずれも腕に覚えあり、たやすく殺されはせぬ」と、刀や弓を手にした若者たちの迫力に負け、かの地へと案内してしまう。
しかし大峰山へ向かった一行はそのまま二度と帰ってくることはなかった――。
「だけどその話だけじゃあ異界化した隠れ里なのか、呪術による結界で閉ざしてある場所なのか、判別できないよな」
「そうだね、一般人からしてみたらどっちもおなじだろうし。……ううん、実際両者は結界の強度に差があるってだけで似たようなものだと言えるね」
春虎と呪術について語り合えるのがうれしい。
ほんの一年前までは呪術はおろか一般教養の科目でも劣等生ぶりを発揮していたのに、今ではごく普通に呪術関連の話ができる。
ある時などは授業中に居眠りをした罰として、講師の大友から水行符をもとに作成された蛙の式神を取りつかされ、水難に遭ったものだが、わずか一年でよくここまで成長したものだ。
さらにうれしいことといえば――。
「ファイトー、ファイトー」
運動部によるものだろう、校庭から聞こえるかけ声。理科室からただよう、すえたような薬品臭。白い雲を映す校舎の窓に錆びの浮いた階段――。
夏休み中のため校内は閑散としているが、こうして歩いていると学校独特の喧騒が聞こえてくるような気がする。
(なんだか、普通の学校に通う、普通の生徒になったみたい)
陰陽道の名門土御門家に生まれ、『跡取りたる者、他家に対しては、男子として振る舞うべし』というしきたりに従い、中学に入学してから公の場では男装している。そのことを見破られないためにクラスメイトとの交流を避けていた。
いまでこそ春虎や冬児たちをはじめ、他の塾
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