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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 6
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 方臘(ほうろう)が呼んだ助っ人、包道乙(ほうどういつ)智羅永寿(ちらようじゅ)。元側に実力のある呪術者が加勢したことで戦況に変化が生じた。
 それまでは一方的に秋芳らの放った使役式に翻弄され、武器を壊されたり兵糧を奪われたりいやがらせで士気をくじかれていたのだが、彼らが守りにつくことでそれらが阻止され、敵陣に近づくのも困難になり、そればかりか逆に元軍側から呪術や使役式による攻撃を受けるようになった。
 双方の陣地に式神が飛び交い、呪が交わされる、甲種呪術による攻防戦が展開された。

「玉帝有勅、風伯雨師雷公霊々、雲雨湧須、雷風雷電神勅、軽磨霹靂電光転、急ぎ急ぎて、律令の如くせよ!」
「玉帝有勅、炎帝火徳?姑霊々、形状精光、上列九星、軽磨火電灼熱光華、急ぎ急ぎて、律令の如くせよ!」

 方臘が風を呼び、包道乙が火を起こして木生火。相生効果で威力を高めた炎で火計をくわだてるも。

「不変にして不動なる大地よ、絶対不破の楯となれ、急々如律令(オーダー)!」
「金光五兵、太白銀陣、剣槍刀矢斧は万物必壊なり、疾く!」

 仰々しくも力強く、だがそれゆえにムラも多い方臘と包道乙の呪術にくらべて無駄のない現代≠フ汎式呪術が応じる。

「「一白辰星、玄き魂にて我らを護り我が敵を滅せよ。凍土よ氷河よ荒れ狂い咲き誇り、氷塵と化せ。急々如律令(オーダー)!」」

 土生金からの金生水、そして水剋火。秋芳らもまた五行相生・相剋の理をもって勢いを増した水の呪で阻止した。

 熊のような体躯に驢馬のような頭部をのせたヤクシャ、赤髪黒肌の食人鬼ラクシャーサ、目が横ではなく縦についている三面六臂のダーサ、疫病をまき散らす病魔ヤカー、半人半蛇のナーガ、血肉を喰らう食屍鬼ピシャーチャ、鋼の鉤爪をもった魔鳥ジャターユ、象頭の悪鬼ギリメカラ、漆黒の獣人キャク――。
 智羅永寿が召喚した天竺生まれの動的霊災が崖山に害をもたらそうとするも。

「東海の神、名は阿明。西海の神、名は祝良。南海の神、名は巨乗。北海の神、名は禺強。四海の大神、百鬼を避け、凶災を蕩う――」
「東に少陽青龍、南に老陽朱雀、西に少陰白虎、北に老陰玄武、中央に太極黄龍。陰陽五行の印もって相応の地の理を示さん――」

 百鬼夜行、数多の霊災を退ける呪術が効果を存分に発揮し、人々の住む居住区には一歩もよせつけない。たとえ退魔の霊陣をくぐり抜けてきた者がいても、たちどころに修祓してみせた。
 もともと崖山は背山臨水。山を背後にして前方に水を臨む吉相の地であり、たんに縁起が良いだけでなく呪術に対する防衛能力が高い。
 物理的にも霊的にも、こと守りという点においては大都市と化した崖山に篭もる宋の側が圧倒的に有利であった。

「しかしこれじゃあ埒があかないな」

 玉製の杯にそそ
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