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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 6
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って戦って散るのみ。大丈夫たる者、瓦のように全うするのではなく、玉と砕け散ろう!」
「しかしおふたりは宋の民ではございません、われらと運命を共にすることなどない。そこで皇帝陛下を安南(ベトナム)へおつれするさいの護衛になってもらいたいのだが……」

 驚天動地の天変地異と、それに続く大軍勢を目の当りにした諸将らは、あきらめから自暴自棄になっているようだ。

「……水臭いことを、ここまで来たからには最後までお供させてもらいますよ。それに呪術で開いた穴は呪術で埋め合わせればよいのです」
「なんと、ではあの大地と化した海をもとにもどせるので?」
「もどせます」

 おお、と歓声があがる。

「……だがそれよりももっとすごい、未曾有の大呪術を披露して見せましょう。元軍が海に大地に変えたというのなら、私たちは空を落としてみせます。さらに宋の軍兵に天将の加護をさずけましょう」

 おおう、とふたたび歓声が評定の間をつつむ。

「しかしそれには準備がかかりますので、儀式が完遂する前に元軍が攻めてくるでしょう。この賀茂秋芳(ファマオ・チュウファン)が前線に立ち、微力ながら宋のみなさんのお力添えをします」

 おおおう、評定の間は大歓声につつまれた。





 崖山の頂上付近、行宮にほど近い?台(バルコニー)
 そこは儀式呪術のための天壇へと変わろうとしていた。
 呪詛のための護摩壇、五鈷鈴、三鈷などの法具をならべたり磨いたり供物をそろえたりとしたこまごまとした作業をしている秋芳と京子の姿があった。

「いやぁ、良かったよ」
「なにが?」
「宋の人たちが俺たちを頼りきって泣きついてきたらどうしたものかと思ったが杞憂だったみたいだ。俺はああいうのが苦手なんだよな〜。ほら、ファンタジーだのによくある勇者の伝説ってやつ。――国王の悪政や盗賊に苦しむ国や村があって、人々は古くからの予言や伝説に希望を託している、いつか旅の勇者が矢ってきて悪王や盗賊をやっつけてくれるとか、なにも知らない旅人がやってくると人々は勝手に彼を勇者と決めつけ、おだてあげ、泣きつき、悪者と戦わす。てパターンがあるけど、つまり自分たちは悪政を打倒するためにはなにもしない。どこからかつごうよく正義の勇者があらわれて悪をやっつけて、またつごうよく去っていく。最初から最後まで他人に責任を押しつけて自分たちはなにもしない。そういう連中のためにひと肌脱ごうって気になれないんだよな」
「もしそうだったら、見捨ててたの?」
「いや……、見捨てはしないが、やれやれ系主人公みたく愚痴ったりなんかして、ぐだぐだ、うだうだとのたまって行動に移ったんたんだろうなぁ」
「あら、良いじゃない! やれやれ系主人公。正義や愛を口に唱えながら人を殺すより、屁理屈言ったり退屈しのぎと
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