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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 6
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濁す、水を吸ったり堰き止めたりするはたらきや状態を土剋水。
 水がさらに弱められ、土剋水の状態が極まれば水虚土乗と化す。
 呪術の力で海を大地に変えてしまったのだ。
 三方を海にかこまれた天然の要害である崖山であったが、周辺部にわずかな水場が川のように広がり、残るのみ。
 さえぎる物がほとんどない低平な土地に無防備に晒された状態になってしまった。

「……儀式呪術による地形変化! そんなものが存在したのか……」

 天地自然を自在に操るいにしえの呪術の絶技に秋芳も驚嘆をかくせない。
 ここに元軍一八万による総攻撃がはじまろうとしていた。





 朝日が昇るにつれ呪術によって隆起した大地は燦然たる輝きに満ちていった。
 一〇余万の元軍兵士たちの身につけた鎧や槍の穂先に陽光が反射しているのだ。
 大軍である。
 地上の半分を埋めるかと思われるほどだ。軍旗を風になびかせて歩兵がゆく、鉄騎兵が進む。虎や豹や獅子、人のようで人ではない異形の兵らが列をつくる。鐘を鳴らしてそれらを先導しているのは元軍側の呪術者たちだ。

「もはや小手先の兵法も呪術も不要、正面から力で押し潰すのみ!」

 猛る李恒を張弘範が抑える。

「いま、やつらは太陽を背にしている。午後になり日が傾いてから全面攻撃するのが良かろう」
「たしかに」

 元軍側が悠々と軍備をととのえ布陣するいっぽう、宋の側は混乱の極みにあった。
 滅亡の淵より逃れ、往時を思わせる繁栄を楽しんでいたのもつかの間、ふたたび戦火にさらされようとしているのだ。
 いっときの安堵があったぶん、より恐慌の度合いが増している。
 評定の間。
 さすがに朝廷に仕える文武百官たちは恐怖と混乱に駆られる民衆たちとはちがい泰然としているように見えた。
 彼らはすでに徹底抗戦の、城を枕に討ち死にする覚悟を決めていたのだ。
 問題はどう戦うか。それについての話し合いをしている。
 自分たちが剣の下に死ぬのはいい。だが、祥興帝(しょうこうてい)趙?(ちょうへい)。皇帝陛下の玉体だけは護らねばならぬ――。

「おお、慈雨花冠さまに妖怪道士さま」
「短い間でしたが良き夢を観させていただきました」

 評定の間に姿を見せた秋芳らに諸将が声をかけてくる。


「元軍側に呪術者が加勢したという話は聞いていましたが、まさか海を陸にしてしまうほどとは……」
「雨を降らし山を削るおふたりの神通力にもおどろかされましたが、まさか敵にもかような術者が存在しているとは思いもよりませんでした」
「あの大軍勢が相手では、もはや呪術でどうにかできる水准(レベル)ではないでしょう」
「大宋が誇る海軍力を封じられ、地の利も失った。もはやこうなってはいかなる小細工も通用せぬ。あとは戦って戦
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