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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 6
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一万に満たない宋軍が先鋒隊だけで三万以上の元軍を完全包囲えきるわけはない。
包囲の輪にほころび、薄い箇所があるのは当然だ。元の兵たちが生き残るため、折れた槍や刃のこぼれた剣を振りまわし、死に物狂いで突進すると、宋兵たちは左右にわかれて道をあけた。
元軍の兵らの死力に怯んだのか。
歓喜の雄叫びをあげて包囲を突破した元の兵たちだったが、それこそ張世傑のしかけた無慈悲な罠だった。
元兵たちは歩兵も騎兵も肩をぶつけあい、押し合いへし合い揉み合いながら敗走した。この戦いで元軍はつねに密集隊形で移動し、そのために甚大な被害をこうむったのだが、敗走する時でも密集していた。
最大の悲劇が元兵らを襲った。
彼らが包囲を突破したと信じて安堵した時。それは巨大な罠の口にみずから飛びこんでしまった時だった。
「なんだこれは!?」
絶叫がわき起こる。
「止まれ、止まれ!」
「押すな、押すんじゃない!」
数百の人馬がいっせいに宙に浮き、落下してゆく。
そこには地面がない。崖山周辺の海。残った水場に飲み込まれていった。
数百の飛沫が水面にはじけた時、すでにその上方には、さらに数百の人馬が手足をばたつかせて落下していく。泳ぎのできる者がようやく水面に顔を出した時には、ほぼ同じ数の人馬が落下してくるのだ。
人と人、馬と馬との身体が激突し、水しぶきに赤い煙が混ざる。
それが十回、二十回と繰り返され、崖山の天然堀は人馬の群れに埋め尽くされた。
「このあたりの鮫どもも、とうぶんは人の肉に飽きるだろうな」
張世傑がつぶやいた時、初戦は完全に宋の勝利に終わった。
彼の考えた背水の陣は先例のないもので、自分たちの背後の水場を自軍の退路を断つ障壁としてではなく、敵軍を飲み込む罠として使うという見事なものだった。
「ええい、ありったけの回回砲を撃ち込め! いまなら密集している。大打撃をあたえられよう!」
敵のいいように包囲殲滅される自軍の様に憤激した羅延が投石器の使用を命じた。
「しかしそれでは取り残された味方にも被害が出ますぞ。そもそも野戦で投石器はあまり効果が――」
「かまわん! 撃て! ……そもそも千里眼と言いながらなぜやつらの罠が見抜けぬのだ、このインチキ売僧!」
とんだ言いがかりである。
「千里眼と言いましても拙僧のそれは遠くを見渡せるだけで相手のくわだてや罠の有無はわかりませぬ」
「ならば得意の法力だか呪術でこの流れを変えてみせろ!」
「いいでしょう。もとよりそのつもりで拙僧は戦場にいるのです」
方臘と彼に味方する呪術者たちが動きだした。
戦場に魔物を、動的霊災を放つ。
怒声と悲鳴、土煙が野をおおい、血と鉄の臭
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