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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 6
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戦いで漢の軍は寄せ集めの兵ぞろいだった。そこで漢の将軍韓信はわざと川を背にして陣を敷き、兵士たちが逃げれば溺れ死ぬほかはない捨て身の態勢にした。兵学の常識を知らんやつと油断した趙の軍は決死の漢軍の猛攻の前に敗走し、漢は勝利をおさめた。
 この故事から失敗の許されない状況で全力をあげてことにあたることを背水の陣を敷く、背水の陣で臨む。というようになったのはあまりにも有名な話だ。

井?(せいけい)の戦いとはまったく状況が異なる。川を背に高処の敵に対するなどと自殺行為だ。宋のやつら、よほど死にたいらしい。高処からいっせいに攻撃し、押し潰し、海に追い落としてやろう。やつらの死骸で海を埋め立てようぞ」
「大地を造ってしまいこのあたりの魚どもには悪いことをしたが、大量の餌ができて鮫どもはよろこぶだろう」

 元軍の先鋒を任された羅延将軍とその旗下の隊長たちが嘲笑した。
 高処といってもたいした高処ではないが、それでも低地に位置する宋軍の様子は丸見えだ。兵数は一万に満たず、どこかに伏兵がいる恐れもない。例の妖怪道士や魔女が妖しげな術や人妖を放ってくるかもしれないが、そのために方臘、包道乙、智羅永寿をはじめとした数多の呪術者を軍に編入してある。おいそれと遅れはとらない。
 大あわてで柵を作ったようだが完成しているのは中央と左翼だけで右翼の前面はがら空きのようだ。しかも中央と左翼は騎兵中心だが右翼はほとんど歩兵らしく思える。

「やつら、どこまで愚かなのだ。せっかく柵を作るなら歩兵の陣前だろう。騎兵の前に柵を作れば自分たちが突出できぬようになるだけだぞ」
「よし、まずは敵の右翼を叩き潰す。そののち右回りに敵の中央と左翼を突き崩す」
(シャア)!」

 元軍の喚声が天に響く。一六万対一万。互角の条件で戦ってもまず負けはしない。いわんや地の利はこちらにある。万が一の敗北もありえない条件に見えた。

「お待ちを、羅将軍」
「……なんですかな、太上準天美麗貴永楽聖公どの」

 返しの風による落雷に撃たれて黒焦げになった僧、方臘が突撃の号令を発しようとした羅将軍に声をかけた。

「拙僧の千里眼の術によりますと、わが軍左翼の前方に何十本か棒杭が立たれ、縄がはりめぐらされております。騎兵で突撃するのは不利なのでは?」

 物見の兵に確認させると、たしかに言ったとおりに棒杭が立ち並び、たがいの間に縄が張られている。思わず失笑してしまうような急ごしらえのお粗末な罠だが、むやみに馬を突進させれば足をからめてしまうだろう。
 元軍の左翼は宋軍の右翼と相対し、まず元軍左翼が突出して宋軍右翼を正面から叩き潰し、そこから右へと転じて中央部隊の右側面を突くつもりだったが、少し修正する必要が出た。

「ならば中央から堂々と押し出し、低地へ出てから左
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