第一章
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兄からのプレゼント
中崎真希はいつも兄に文句を言っている、それは当人を目の前にしてもそうだし友人達にもである。
とにかく兄のことを悪く言う、だがその彼女に周りはいつもこう指摘した。
「そう言っても顔はあまり怒ってないのよね」
「大嫌いとか言っても」
「お兄さんのいいところばかり言ってるし」
「聞いてみたらね」
「別にそんなことないわよ」
そう指摘されるとこう返す。
「私本当にお兄ちゃんのことはね」
「大嫌いなのね」
「そう言うのね」
「今もそうなのね」
「そう、大嫌いだから」
今もこう言うが顔はあまり怒っていない感じなのは実際にだった。
「何であんなにずぼらでいい加減なのか」
「けれど学校じゃ優等生でね」
「そこそこ人気あってよね」
「奇麗な彼女さんもいて」
「その彼女さんがこれまた素敵だっていうのね」
「そうよ、お兄ちゃんには不相応な位にね」
その交際相手まで褒める真希だった。
「凄い美人さんよ」
「それで真希ちゃんのこといつも気にかけてくれて」
「双子の弟さん達にもよね」
「いつも公平に優しくしてくれる」
「いいお兄さんっていうのね」
「兄弟で一番上だからっていうけれど」
兄はいつもこう言っている、家の中で。
「けれどそれが嫌なのよ」
「一人にしておいてくれっていうのね」
「そう言うのよね」
「そんなに世話を焼くなって」
「いつも言っている通りに」
「そうなの、何であんなのなのよ」
ずぼらでいい加減でその癖世話焼きだというのだ。
「困ってるのよ、私は」
「とはいってもね」
「いいところはちゃんと見てるし」
「彼女さんまで褒めるし」
「女の人を見る目があるとか」
「そんなの当然でしょ、悪い人が彼女になったらね」
嫉妬深くはないので兄の交際相手に悪意を抱くことはない、むしろいい人をゲットしたと内心喜んでいる。
「もう大変でしょ」
「悪女だとね」
「確かに困るわよね」
「それはその通りね」
「本当に」
「そうよ、だからね」
また言う真希だった。
「あの人が彼女さんでよかったわ、若菜さんでね」
「それで二人の仲も応援してるし」
「真希ちゃんいいところあるじゃない」
「こうした時邪魔する娘もいるみたいだけれど」
「兄弟の恋路に無性に嫉妬してね」
自分がいないのにだの自分の好きな肉親を獲られてだの思ってだ、こうした嫉妬もまた人間の業であろうか。
「そんな娘もいるのに」
「真希ちゃんは違うから」
「いいところあるわよ」
「いいお兄さんだってわかるし」
「真希ちゃんもそんなお兄さんが好きだってことがね」
「だから大嫌いだから」
口では否定してもその口調は尖っていないし表情も同じだ、真希の自分の兄
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