第二章
[8]前話
「それだと」
「それだけ煮込んで食べましょう、五時半位にお米といで御飯も炊くから」
「それは僕がしますよ」
「いいわよ、お米も」
「やってくれますか」
「じゃあ後は時々お鍋を見て」
そうしてアクを取ってというのだ。
「煮込んでいくわよ」
「わかりました、じゃあ夜までは」
「ゆっくりとするわ」
アクのことは忘れないがというのだ、こう話してだった。
由美は牧田君と共に楽しい午後を過ごした、そうしているうちに遂に食事の時間となり二人でテールスープを食べたが。
肉と骨、野菜の味がよく出たコンソメスープにくたくたになるまでに煮られた野菜にそして驚くまでに柔らかくなった肉を食べてだった。
牧田君は目を瞠ってだ、由美に言った。
「美味しいです」
「そうでしょ、時間をかけて煮込んだだけにね」
「これだけの味なんですね」
「そうよ、じゃあどんどん食べてね」
「量もあるんですね」
「そう、だから二人でたっぷり食べましょう」
「わかりました、いや何か今日は」
牧田君はスープの中の牛肉を食べつつ言った。
「凄く美味しくて」
「それでなのね」
「はい、最高の気持ちです」
「美味しいものを食べるとね」
「それだけで、ですよね」
「素敵な気持ちになれるわよね、量は沢山あるから明日も食べられるわよ」
「じゃあ明日も二人で食べましょう」
牧田君は由美の言葉を受けてすぐにこう彼女に返した。
「そうしましょう」
「ってことは」
「今日うちに泊まるんですよね」
由美の目を見ての問いだった。
「そうですよね」
「いえ、それはね」
「違ったんですか?」
「食べたら帰るつもりだったけれど」
「いや、明日も二人で食べましょう」
一緒にというのだ。
「そうしましょう」
「それじゃあ」
「はい、今日はずっと一緒にいましょう」
「ううん、そこまでは考えてなかったけれど」
それでもとだ、由美は牧田君に応えた。
「すぐにお家に連絡するわね」
「はい、今日は僕のお家に泊まるって」
お互いの家族公認の関係なので泊まりもいい、このことが幸いしたと思った牧田君だった。
「連絡して」
「そうするわね、今から」
「じゃあ二人でゆっくり」
「ええ、テールスープ食べましょう」
由美は牧田君ににこりと笑って応えた、そのスープの味は確かに美味かった。大好物なので一人で食べても美味しい、しかし今は二人で食べている為か余計に美味しく感じた。普段以上の美味しさと温かさがあって。
テールスープ 完
2017・11・23
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