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ラブライブ!サンシャイン!! Diva of Aqua
キセキ
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 夜絵の口から飛び出したのは、Aqoursを脱退するというもの。それを聞いて梨子は目を見開いて驚いた。あまりに突然すぎる夜絵の言葉。普段は冷静で落ち着いている梨子には珍しく、感情的になってしまう。


「どうして? 練習がキツかったの? Aqoursのこと、嫌いになったの?」


 夜絵はゆっくりと首を横に振る。


「ううん。練習はキツかったけど楽しかったし、ライブを観てAqoursはもっと好きになった」

「だったら、どうして……」




「私が大好きになったAqoursは――





 花丸ちゃんがいて


 ヨハネちゃんがいて


 ルビィちゃんがいて


 ダイヤさんがいて


 マリーさんがいて


 果南さんがいて


 曜ちゃんがいて


 千歌ちゃんがいて


 そして、梨子がいる。



 
 それが私が大好きになったAqoursなの。そこに椎名夜絵はいない。


 これが、私がAqoursを辞める理由」




 そう語る夜絵の目は真剣そのものだった。夜絵の言葉が冗談などではなく、本気で言っているのがひしひしと伝わる。


「……分かったわ。みんなには私から伝えておく」

「ありがとう。でも復学したら、ちゃんとみんなには話すことにするよ」

「うん、それがいいわね」


 夜絵の決意を梨子は尊重して、夜絵がAqoursを辞めることに決まった。今この瞬間をもって、椎名夜絵はスクールアイドルから、普通の女子高生になった。


 夜絵はゆっくりと天井を見上げて、再び話し出す。



「でも、歌うのは辞めないかな。復学したらみんなとカラオケとか行って遊びたいし……あと、路上ライブとかやってみようと思ってるの」


「路上ライブ?」


「うん。もっと色んな人に私の歌を聴いてほしい。そして私の歌でたくさんの人に勇気や希望を与えたい。Aqoursが私にそうしてくれたように。
 ――それが今の私の夢。
 そのためにも、今はリハビリを頑張って早く復学しないとだね!」


「そうね。夜絵の夢、応援するわ」


「えへへっ、ありがとう!」



 自身の夢を語る夜絵。梨子はそれを素直に応援したいと思った。思えば、夜絵の夢を聞くのはこれが初めてだった。




「話したら、なんだか早く歌いたくなってきたー!」


「じゃあ、今ここで歌う?」


「いいね! 何の曲にする?」


「いつも一緒に歌っていた曲でいいんじゃない?」


「やっぱりそうだよね! じゃあ歌うよ――」


「ええ、いいわよ」


「せーのっ!」
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