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ラブライブ!サンシャイン!! Diva of Aqua
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桜内梨子は目を覚ました。眠気まなこを手で擦りながら、ジリジリと鳴り続けている目覚まし時計に手を伸ばした。
喧しい音が鳴り止むと、梨子は両手を伸ばしてグーッと背伸びをする。その拍子に大きく口を開きあくびが出てしまった。目が僅かながら潤んでいる。
微睡んだ意識をゆっくりと覚醒させてながら、梨子は二階の自室を出て階段を慎重に降りていく。そうして洗面所にやって来た梨子は、ぼんやりとした意識のなか歯を磨いていく。それが終わると、水で顔を念入りに洗った。ここまで済ませるとフワフワしていた意識がようやくハッキリとする。
洗った顔をタオルでゴシゴシと拭きながら、梨子の先程まで見ていた夢のことを思い出していた。
それは、音ノ木坂で実際にあった思い出だった。いくらピアノを弾いても満足のいく演奏ができず、梨子はスランプに陥っていた。満足のいく演奏をしようと梨子はピアノを弾く。しかしピアノを弾けば弾くほど、自身の理想とはどんどんかけ離れていく。
そんな自分に腹が立ち、失望して、一度は諦めかけた。
その日で上手くできなかったら、一旦ピアノから離れることにしよう。そう決意していつものように放課後の音楽室でピアノを弾いたけど、やはり思うような演奏は出来なかった。
ピアノに今までの自分を詰め込んで、その蓋をそっと閉じた。そしてふと窓の外を眺めると、夕日が泣きそうになるほど綺麗だった。
涙をグッと堪えていると、扉が開く音がした。誰が入ってきたかなんて分からないけど、その人に泣きそうな顔を見られたくなくてずっと夕日を眺めていた。
『あの――』
綺麗な声だった。思わず振り向いてしまった。その人は梨子のクラスメイトだった。クラスでも目立つ存在だった彼女とは友達でも何でもないただのクラスメイトであったが、何分目立っていたので梨子は何となく彼女のことを覚えていた。
そんな彼女と梨子が、音楽室で対面している。
音ノ木坂の生徒では珍しいそのブロンドの髪は、夕日に照らされて宝石のように映えていた。その瞬間だけ切り取って一枚の絵画にして飾りたいと思うほど、梨子はその少女に見惚れていた。
それが、桜内梨子と椎名夜絵の出会いだった。
二年生になって梨子は浦の星女学院に転校し、夜絵とは離れることになった。その夜絵が浦の星に転校してくるとは、何とも不思議な縁である。
「梨子ー! 朝ごはん出来たわよー!」
居間から母親の声がする。梨子は鏡で自身の顔を一通り眺めると、「よし」と小さく呟いて気を引き締めた。
「はーい!」
梨子は朝食を済ませると制服に着替えて、隣の家に住む千歌を迎えに行くのであった。
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