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ラブライブ!サンシャイン!! Diva of Aqua
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席の近くで立って眺めていた。
「夜絵ちゃん、あっという間にクラスの人気者だね」
「梨子ちゃんと違ってトーキョーの子って雰囲気だもんね」
千歌と曜は立ち上がってボーっとクラスメイトに囲まれる夜絵を見ながら、そんな感想をそれぞれ口にした。
曜の言ったように夜絵は梨子とは対照的だった。明るいブロンドの髪という特徴が夜絵の存在感を際立たせ、興味を持ったクラスメイト達が次々に夜絵に話しかけていた。笑顔で友好的に会話をする夜絵にクラスメイト達は好印象を抱く。千歌と曜から見て、夜絵はあっという間にクラスの一員となっていた。
「でもビックリだよね。昨日見た梨子ちゃんの写真に写っていた人が、まさかその次の日に転校してくるなんて」
「え? 写真?」
「千歌ちゃん覚えてない? ほら、昨日練習の休憩時間に梨子ちゃんが見ていた写真だよ」
曜の指摘に、千歌は昨日屋上であった出来事を振り返る。スマホを眺める梨子を驚かそうと胸を触り、その拍子に梨子の手から落ちたスマホを拾った。その時、画面に表示されていた一枚の写真。
音ノ木坂の制服を着た二人の少女が仲睦まじい様子で写っていた。一人は梨子で、もう一人は端正な顔立ちの金髪の少女。
「あーっ! そうだよ、あの写真に梨子ちゃんと一緒に写ってたの、夜絵ちゃんだった!」
「でしょ?」
「そうだよ! 私どうして忘れてたんだろう!」
千歌の中でひとつの疑問が晴れた瞬間だった。それは、昨夜砂浜で出会った夜絵に感じた既視感。どこかで見たような覚えがあるのに、夜絵とは間違いなくその時が初対面。その既視感の正体は、梨子のスマホに映っていた少女だったのだ。
ひとつの疑問が晴れた。しかしそれと同時に、新たな疑問が千歌のなかで生まれる。昨夜自身と会話をした夜絵は、今のように活発で天真爛漫な様子だっただろうか。
未だにクラスメイトに囲まれ質問攻めにされる夜絵を横目でチラリと見ながら、千歌はふとそんな疑問を抱いた。
「そういえば千歌ちゃん、夜絵ちゃんのこと知ってたみたいだったけど、千歌ちゃんも知り合いだったりするの?」
「ううん。夜絵ちゃんとは昨日の夜に偶然会って、少しお話しただけ」
「へえー、そんなことがあったんだね」
曜の質問に答えながら、千歌は先ほど新たに生まれた疑問について考える。昨夜出会った夜絵と今まさにクラスメイトと話している夜絵とでは、雰囲気が全然違っていると千歌は感じた。
今の夜絵は明るくて活発な印象を受けるが、昨夜の夜絵は川のせせらぎのように穏やかで、どこか儚げな印象だった。だがそれも、月明かりに照らされて祈るように歌っていたという、そんな幻想的な雰囲気がもたらした錯覚なのかもしれない。
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