暁 〜小説投稿サイト〜
ママライブ!
最終話 奇跡
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 ――七夕。

 それは、織姫と彦星が年に一度出会うことが許される特別な日。夜空を流れる天の川が、2人を繋ぐ再開の架け橋となっている。

 人々は短冊に願い事を書き記し、それを笹に飾りつける。願いは天の川を渡っていって、煌めく星のように輝きを放つ。



 ここ神田明神は、七夕祭りで賑わっていた。

 所狭しと立ち並ぶ屋台。行き交う老若男女。客寄せで声を張る店主。どこからともなく流れる音楽。

 仄かな甘さを漂わせる菓子、香ばしい食べ物の匂いは祭り特有のものだ。


 道を行く人の流れは、ある一方向に向かっていた。流れを辿っていくと、そこには大きな野外ステージが設けられていた。

 ステージの正面、観客の入るスペースには続々と人が集まってきている。

 座るための椅子はなく、訪れる人たちは立ち見を余儀なくされるのだが、それでも大勢の人で埋め尽くされていた。

 理由は単純明白。

 集まった人たちは、これから始まるステージを心待ちにしているから。



 様々な催しが行われる野外ステージ。その前は大勢の人で埋め尽くされていた。

 始まろうとしているのは音ノ木坂学院のアイドル――Lyraのステージ。彼女たちを見ようと観客たちは立ち尽くして待っている。


『皆さんお待たせしました。次の出演者は音ノ木坂学院アイドル研究同好会――Lyraです! Lyraのみなさん、どうぞ!』


 司会者の言葉に、観客たちからは地鳴りのような声が轟く。大きな歓声に迎えられて、Lyraは舞台上に姿を現した。

 歓声はよりいっそう大きくなる。

「……すごい」
「……人がいっぱい」
「……そうね」

 ステージに立ったLyraは客の多さに驚く。自分たちをこれ程待ってくれて、期待しているとは夢にも思わなかった。

 そんな思いを抱いてくれた人たちの為に、精一杯のパフォーマンスをしなくてはいけない。

 戸惑いを切り捨て、輝穂、飛鳥、瑞姫の3人は集中する。


「みなさんこんばんは! 音ノ木坂学院の“スクールアイドル”、Lyraです!」


 スクールアイドル。

 芸能事務所の社長に言われたその言葉を、輝穂は初めて使った。

「1曲目は私たちが最初に歌った、始まりの曲です。それではみなさん――」



「「「ミュージック、スタート!!」」」



 合図の後に流れ出すピアノのイントロ。始まりを告げるそれは、力強く、期待を膨らませるような音をしている。

 観客が息を呑んで見つめる中、曲にギターサウンドが加わって、音楽が加速する。それと同時にLyraの踊りも速く、強く、大きくなっていく。

 アップテンポな曲調に、観客たちは歓声を上げて盛り上が
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ