最終話 奇跡
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ざかった場所でその様子を見つめる人物がいた。
七夕えみ。
思い悩んだ表情で見つめる先には、ステージ上でアンコールを受けるLyraの姿。
今日のライブを見て、えみには思うところがあった。
それは以前、彼女たちに向けて言った言葉。
『これから私たちは――ライバルよ!!』
彼女たち、Lyraなら私の良きライバルになれると思ってそう言った。その言葉に嘘偽りはない。あったのは純粋な期待だけ。
事実、Lyraはえみの期待通りのパフォーマンスを見せ、人々の心を掴んでいった。
そして今日のライブ。
Lyraは見事なパフォーマンスを成し遂げた。客席と一体となったライブは圧巻の一言だ。それはプロであるえみでさえ、魅了され、圧倒されるものだった。
その気持ちを認めた瞬間、えみは一つの結論に至る。
Lyraは、七夕えみより一段上のステージに立っていると。
そこにプロもアマも関係ない。彼女たちのパフォーマンスは、七夕えみのそれを超えて高みへと登りつめた。
そんな中、突然告げられたLyraの解散。
もともとLyraの実力は光るものがあった。彼女たちに負けないよう、えみはこれまで努力を惜しまなかった。そんな存在が自分より高みへと行き、そのままいなくなる。
自分はこれまで通りのパフォーマンスをできるだろうか。
その疑問にイエスと言えない自分がいる。
引き際の美学というものも、Lyraは考えたのだろう。
全盛期のまま終えるというのも、いいのかもしれない。
「……まったく。私の負けね」
えみは一つの決心をする。晴れやかな笑みを浮かべて、えみはその場を立ち去った。
*
「アンコールありがとうございます! みんなの声に応えて、最後に1曲歌います! 曲は今日最初に歌った、私たちの始まりの曲!」
観客たちのアンコールに応えて、Lyraは再び舞台に立った。
これが、Lyraとしてのラストステージ。
『ミュージック、スタート!!』
会場に流れ出すのは始まりの歌。
これから先、彼女たちはそれぞれ別々の道を歩んでいく事になるだろう。その時に新たなスタートが切れる為にも、この曲を歌うことは必然だったのかもしれない。
透き通るような声で、力強く奏でられるハーモニー。一糸乱れぬ動きで完成されたダンス。
例え離ればなれになったとしても、彼女たちはひとつの光であることに変
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