最終話 奇跡
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っていく。掛け声や手拍子が響き渡り、一人一人がLyraのステージを楽しもうとしている。
それから曲は滞りなく進んでいき、最後のサビに突入した。
Lyraの歌声とダンスは力強く、大きくなる。
最後のフレーズを歌い終え、あとは曲の終わりまで踊り続けるのみ。
ステップを踏み、手を大きく伸ばし、笑顔を振りまいて、彼女たちは踊りきった。
「ありがとうございました!」
音楽が鳴り終わる。観客たちはステージ上のLyraに大きな拍手を送った。
「えー。ここで皆さんに一つ、お知らせがあります」
輝穂が一歩前に出て、真剣な表情を浮かべて立つ。輝穂に続いて飛鳥、瑞姫が輝穂の横に並び、輝穂の手をとった。
彼女たちから漂う雰囲気に客席は静寂に包まれ、固唾を飲んで言葉を待つ。
「「「私たちLyraは、この七夕祭りを最期に
――解散します!!」」」
3人で出したひとつの答え。進路という岐路に立たされた彼女たちが選んだのは、Lyraの解散だった。
突然の告白に、観客たちはどよめき立つ。
「このライブが、私たちにとって最後のライブです。みなさん、楽しんでいってください!!」
戸惑いながらも、観客たちは盛り上がりを見せる。これがLyraのラストライブなら、その姿をしかと目に焼き付けようと。
「ありがとうございます! それでは次の曲――」
『ミュージック、スタート!!』
ピアノの切なげなイントロが流れ出す。観客たちが息を呑んで見守る中、Lyraはゆっくりと踊りだした。
それは音ノ木坂学院で行われたクリスマスイベントで披露した、冬を感じさせるラブソング。
Lyraは歌う。歌詞の一つ一つに想いを込めて。見てくれている、全ての人に感謝して。
Lyraは踊る。全身を目一杯使って。この想いが、見ている人に届くように。
それは、彼女たちを見つめる観客たちが一瞬言葉を失うほどの存在感。一夜限りの奇跡。
次の瞬間にはまるでそんな事が無かったかのように、観客たちは盛り上がる。これがLyraのラストライブなら、今この瞬間を精一杯楽しもうと。
その後は終始盛り上がりを見せたまま、2曲目が終わった。
観客たちがLyraに盛大な拍手を送る中、間髪入れずに次の曲、イントロが流れ出す。それに気付いた観客たちの声は一段と大きくなり、流れる音楽をかき消す程に膨れ上がる。
それでもLyraは音を聴きとって、最初のフレーズを歌い出す。
それは彼女たちが文化祭のライブで披露した、星を唄った曲。
夜空には雲ひとつ無く、満
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