第十一話 決意
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がつけば3人は、いつも朝練をしている神田明神にたどり着いていた。
神田明神に着いた頃には日が暮れていて、辺りはすっかり暗くなった。
静寂が3人を包み込む。
輝穂たちは男坂の石段に3人並んで座り込んだ。それぞれお互いの顔は見ずに、前を向いている。
「……ねえ、どうする?」
お互いが何を言っていいのかわからない中、輝穂が意を決して問いかけた。何がとは言わずとも、飛鳥と瑞姫はそれが何なのか理解した。
放課後に渡された進路調査票。それぞれ大学について話していたところに突然降ってわいた芸能界への道。彼女たちはいつになく困惑していた。
「私は……わからない」
飛鳥が輝穂の言葉に答えるが、それは答えになっていなかった。
「そうだよね……」
依然重たい空気が彼女たちを取り囲んでいる。そんな状況を打破しようと、輝穂は言った。
「私は、卒業した後もこの3人で一緒にいたい。まだアイドルを始めて1年ちょっとだけど、飛鳥と瑞姫と一緒にいる時間は今までで一番輝いていたんだ。だから私は、これからも3人一緒でいたい。3人一緒でいられるなら、大学でも芸能界でも構わない」
力強い口調で、輝穂はそう言った。その言葉には確かな意思が宿っていて、飛鳥と瑞姫はその言葉を息を呑んで聞き入っていた。
そんな輝穂の言葉に感化されて、瑞姫が意を決して言った。
「輝穂、飛鳥。私ね、小さい頃から将来はお医者さんになりたいって思ってたの」
「お医者さん?」
瑞姫の突然の告白に、輝穂は不思議そうに言葉を繰り返した。
「修学旅行の夜、話したよね。小さい頃は病気がちだった私は、よくお医者さんの世話になったの。だから輝穂、飛鳥。私は医者になるために大学は医学部に行きたい」
「瑞姫……」
瑞姫もまた、強い意志のもと力強くそう告白した。その姿に飛鳥が戸惑いを浮かべながら、彼女の名を小さく呟いた。
「私は、夢を叶えたいの。輝穂と飛鳥と3人でアイドルをやれて、私の高校生活はそれまでとは比べ物にならないぐらい色づいた。2人にはとても感謝しているわ。輝穂の言うように、これからも一緒にいられたら、とっても楽しいでしょうね」
次第に瑞姫の声が震えてくる。そんな瑞姫の様子を、輝穂と飛鳥は固唾を呑んで見守った。
瑞姫は立ち上がり石段をひとつ降りて、輝穂と飛鳥と向き合った。
「でもっ、それでも私は……っ、自分の夢に向かって、進みたいっ! 輝穂と飛鳥との未来より、夢を叶えたいの……っ!!」
瑞姫は涙を流しながら、目の前の仲間に強く訴えた。それは今まで共に歩
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