第十話 聖夜
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を告げる合図が響き渡る。直後、ピアノの音が聞こえてきた。
それはやがてメロディーを奏でる。
どこか切なげで、神秘的な鍵盤の旋律。観客たちが息を呑んで見つめる視線の先は、ステージ上のLyraの3人。
ゆっくりと動きをつけて歌い出す彼女たち。歌詞、メロディー、踊り。そのパフォーマンス全てに見る者たちは魅了されていた。
やがてピアノだけの旋律に、ドラム音やギター、ベースが加わって加速する。
軽快な曲調の中に入り混じる儚さ。それを強調しているのは彼女たちの歌声だった。
それでも盛り上がりに欠けることはなく、観客たちはリズムに合わせて手拍子をしたり、声をあげたりしている。
曲はサビへと突入する。
メロディーに乗せて、歌詞を切なげに、力強く歌いあげるLyra。ダンスと歌で表現するものは、冬の旋律。
それは、観客を魅了する。
感動のあまり息を呑む者。気分が高揚し盛り上がる者。観客たちの反応は様々だ。
観客の視線を一身に受け、Lyraは歌い、踊り続ける。
やがて、彼女たちのステージは終わりを告げた。
演奏が止み、Lyraは最後のポーズをとる。
大きな歓声と拍手が、講堂全体に響き渡る。Lyraのステージを見た観客たちは、心から彼女たちに賞賛を送った。
「「「ありがとうございました!!」」」
自分たちのステージを最後まで見てくれた人たちに、Lyraは礼を言う。
「えー、あのですね」
拍手が鳴りやまない中、輝穂が喋り出す。
「プログラムでは私たちが最後になっていますが、今日はなんと、サプライズゲストが来てくれています!」
サプライズゲスト。輝穂が言ったその言葉に、客席からはどよめきの声があがる。
「さっそくお呼びしたいと思います。ゲストの方、どうぞー!!」
輝穂が舞台袖を向いて、ゲストを迎える。
カツカツ。と足音を響かせ舞台上に現れた人影に、客席は今日一番の歓声が上がった。
歓声を浴びながら、その人物は舞台の中央にやって来た。
派手な衣装。可愛らしい容姿。特徴的なツインテール。
音ノ木坂学院の生徒で、彼女を知らない人はいないだろう。
「ゲストは皆さんご存知、七夕えみちゃんです!!」
現役の人気アイドル、七夕えみ。彼女の登場に観客たちは黄色い声をあげる。
「みんなー、にっこにっこにー!!」
『にっこにっこにー!!』
えみの問いかけに、観客たちが応える。お馴染みのそのやり取りも、えみを知る者なら出来て当然となっている。
「今日はみんなの為に1曲歌います! バックダンサーは、彼女たち――Lyraよ!!」
七夕え
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ