第十話 聖夜
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みは少し思案して、口を開いた。
「事務所に相談してみるわ」
「うん。ありがとうね」
たったそれだけのやりとりで交渉が終わった。えみに用紙を渡して生徒会室を出ようとしたところで、輝穂が再びえみに話しかけた。
「クリスマスパーティー。私たちも出演するんだ」
「……あんたたちって、Lyraのこと?」
「うん。だから、えみちゃんと同じステージに立てたらいいなって」
優しく語りかける輝穂。えみはその言葉に続くものが見つからず、押し黙ってしまった。
それ以降の会話はなく、2人は生徒会室を後にした。
*
そして時は流れクリスマス。今日は音ノ木坂学院の終業式の日でもある。
式は午前中に終わり、その後に生徒会が企画したクリスマスパーティーが講堂で行われる。
飾り付け等の準備も終わり、いよいよクリスマスパーティーが開かれようとしていた。
講堂は生徒で埋め尽くされていた。用事などがある生徒は午前中の式が終わった時点で帰ってしまったが、全校生徒のおよそ半数がこのパーティーに参加している。
ざわざわと観客が騒ぎ立てる中、生徒会長の輝穂が壇上に現れた。
「みなさん、今日は来てくれてありがとうございます! ただいまより、音ノ木坂学院クリスマスパーティーを開催いたします!」
パチパチと拍手の音が講堂に響き渡る。
「まず最初は合唱部のみなさんです。それでは、どうぞ!」
輝穂が舞台上から捌けると、幕が上がって合唱部の発表が始まった。
パーティーの出演部門もいよいよ終盤。会場のボルテージは最高潮に達し、次の出演者を今か今かと待ち構えていた。
「次はアイドル研究同好会――Lyraです。どうぞ皆さん、拍手で出迎えください!」
輝穂に変わって司会進行を務める生徒がそう告げる。すると会場は一気に沸き立ち、今からステージに立つLyraを迎えた。
幕が上がる。大きな歓声に迎えらながら輝穂、飛鳥、瑞姫の3人は姿を現した。
身にまとっているのは赤をベースにした生地に白のラインが施された衣装。
どこからどう見ても、サンタクロースをモチーフにしたものだ。
その格好にキャーっと黄色い歓声が上がる中、輝穂が一歩前に出た。
「みなさんこんにちは、Lyraです! 今日はクリスマスということで、サンタさんの衣装を着てみました! 今から披露するのは新曲なんですが、これも冬をイメージした曲になってます!」
新曲と聞いて観客の歓声はさらに大きくなる。前説の反応は上々。
「それではみなさん、ご一緒に――」
『ミュージック、スタート!!』
講堂中に音楽の開始
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