暁 〜小説投稿サイト〜
ママライブ!
第九話 行路
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「どうして私たちとえみちゃんが同じ班なのかってことよ」
「ああ、それね。もしかして先約あった?」
「いや、ないけど」
「ならいいじゃない。あんたたちはあと1人のメンバーに困っていて、私はしつこい勧誘に困っていた。利害一致よ」

 多少強引ではあるが、えみの言うことに間違いはなかった。瑞姫は何やら悔しそうに、腕を組んでそっぽ向いている。

「よろしくね、えみちゃん!」
「楽しい修学旅行にしようね」
「ええ、そうね」

 輝穂と飛鳥がえみに近づいて言うと、えみはにっこり微笑んで答える。

「ほらほら、瑞姫も!」

 依然そっぽ向いていた瑞姫を、輝穂が無理やり引っ張ってえみの前まで連れてきた。

「よ、よろしく」
「うん、よろしく!」

 とびきりの笑顔で答えるえみ。それを受けて瑞姫の顔が、ほんのり紅潮した。



 こうして修学旅行の班が決まった。





 *





 そして迎えた修学旅行初日。



「沖縄ーーっ!!」



 織部輝穂は目一杯叫んでいた。

「ちょっとテル、大声出すのやめてよ。恥ずかしい」
「えー、いいじゃん」

 慌てふためきながら輝穂を咎める飛鳥だが、注意されたことに輝穂は不満そうに頬を膨らませた。

 音ノ木坂学院一行は飛行機に乗ってここ沖縄の地に降り立ち、今現在は空港のロビーに生徒が集合している図式となっている。

 つまり彼女たちは未だ空港の中であり、沖縄らしさといった要素に遭遇していない。

 にも関わらず大声で叫んだ輝穂に、飛鳥を始め周りの生徒は恥ずかしさを覚えていた。

 しかし同時に「また輝穂か……」と諦めの目で見る生徒もいる。


 生徒全員の点呼がとれたようで、彼女たちはようやく空港の外へと歩いていく。

 空港を出ると大型バスが用意されていて、それぞれクラスごとに乗り込むと、バスは次の目的地へと移動を始めた。



 *



 輝穂たちのクラスがやって来たのは有名な水族館。ジンベエザメが飼育されている事で広く知られている。

 建物の前でクラスごとに集合写真を撮った後、それぞれの班に別れて館内に入っていく。

 輝穂たちの班は館内を進んで行く。その度に展示されている生物に心躍らせながら。

 しばらく歩いていくと、一際大きな水槽がある所にやって来た。

「あ、ジンベエザメ!」

 輝穂が大きな声をあげて水槽を見上げ指をさす。

「わぁ〜」
「大きい……」
「……すごいわね」

 飛鳥、瑞姫、えみも水槽を見上げる。そこには様々な魚が自由に泳ぎまわっているが、その中で一際目を引くのが巨大なジンベエザメだ。

「ねえ、みんなで写真撮ろう
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ