第九話 行路
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」
「どうして私たちとえみちゃんが同じ班なのかってことよ」
「ああ、それね。もしかして先約あった?」
「いや、ないけど」
「ならいいじゃない。あんたたちはあと1人のメンバーに困っていて、私はしつこい勧誘に困っていた。利害一致よ」
多少強引ではあるが、えみの言うことに間違いはなかった。瑞姫は何やら悔しそうに、腕を組んでそっぽ向いている。
「よろしくね、えみちゃん!」
「楽しい修学旅行にしようね」
「ええ、そうね」
輝穂と飛鳥がえみに近づいて言うと、えみはにっこり微笑んで答える。
「ほらほら、瑞姫も!」
依然そっぽ向いていた瑞姫を、輝穂が無理やり引っ張ってえみの前まで連れてきた。
「よ、よろしく」
「うん、よろしく!」
とびきりの笑顔で答えるえみ。それを受けて瑞姫の顔が、ほんのり紅潮した。
こうして修学旅行の班が決まった。
*
そして迎えた修学旅行初日。
「沖縄ーーっ!!」
織部輝穂は目一杯叫んでいた。
「ちょっとテル、大声出すのやめてよ。恥ずかしい」
「えー、いいじゃん」
慌てふためきながら輝穂を咎める飛鳥だが、注意されたことに輝穂は不満そうに頬を膨らませた。
音ノ木坂学院一行は飛行機に乗ってここ沖縄の地に降り立ち、今現在は空港のロビーに生徒が集合している図式となっている。
つまり彼女たちは未だ空港の中であり、沖縄らしさといった要素に遭遇していない。
にも関わらず大声で叫んだ輝穂に、飛鳥を始め周りの生徒は恥ずかしさを覚えていた。
しかし同時に「また輝穂か……」と諦めの目で見る生徒もいる。
生徒全員の点呼がとれたようで、彼女たちはようやく空港の外へと歩いていく。
空港を出ると大型バスが用意されていて、それぞれクラスごとに乗り込むと、バスは次の目的地へと移動を始めた。
*
輝穂たちのクラスがやって来たのは有名な水族館。ジンベエザメが飼育されている事で広く知られている。
建物の前でクラスごとに集合写真を撮った後、それぞれの班に別れて館内に入っていく。
輝穂たちの班は館内を進んで行く。その度に展示されている生物に心躍らせながら。
しばらく歩いていくと、一際大きな水槽がある所にやって来た。
「あ、ジンベエザメ!」
輝穂が大きな声をあげて水槽を見上げ指をさす。
「わぁ〜」
「大きい……」
「……すごいわね」
飛鳥、瑞姫、えみも水槽を見上げる。そこには様々な魚が自由に泳ぎまわっているが、その中で一際目を引くのが巨大なジンベエザメだ。
「ねえ、みんなで写真撮ろう
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