第七話 合宿
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ルを眺めていた。
*
ホタル観賞を切りあげて宿に着くと、3人は今日の疲れと汗を流すために宿にある大浴場へと向かった。
「はぁ〜、いい湯だな〜。疲れがとれる〜」
浴槽に入りながら輝穂は気の抜けたような声を出す。
「ちょっと、おっさんくさいこと言わないの」
「そうだよテル」
「だって露天風呂だよ! 他に誰もいないんだよ! テンション上がるよね!」
「テンション上がるのか疲れたのか、どっちなのよ」
「ふふっ」
どっちつかずな輝穂の言葉に瑞姫と飛鳥が呆れる。
どう見ても今の輝穂はテンションが高い。彼女たちの他に利用者がいなく、3人は露天風呂を満喫している。
「ねえ飛鳥、瑞姫。上見て!」
輝穂は露天風呂から見える空を指さして、飛鳥と瑞姫に見るように促した。
「うわぁ……キレイ」
「……すごいわね」
見上げた先にあったのは、満天の星空だった。
「すごいよね! 私こんな星空はじめて見たよ!」
輝穂が目を輝かせて興奮した。星たちは東京で見るよりもよく見えている。
「さっきのホタルもすごかったけど、こっちもすごいわね」
感動を抱きながら星空を見上げていると、瑞姫はあるものを見つけた。
「あ、あれ、夏の大三角じゃない?」
「ほんと!?」
「え、どれどれ!?」
瑞姫は夜空を指さして、ゆっくりと動かして三角形をなぞる。
「あの一番光っているのがこと座のベガ。そこから左に見えるのがわし座のアルタイル。そしてそこから下のほうにあるのがはくちょう座のデネブ。この3つを結ぶと夏の大三角になるわ」
輝穂と飛鳥は、瑞姫の動かす指をたどって視線を動かしていく。
「あ、見えた!」
「私も見えた! あれとあれとあれだよね!?」
「ええ、そうよ」
瑞姫は得意げな顔で言葉を繋いだ。
「夏の大三角の中で一番光って見えるのが、こと座のベガなの。それとベガは七夕の織姫の星でもあるのよ」
「ほんとだ! あの中で一番光ってる!」
「織姫かぁ。ステキだね」
輝穂と飛鳥がそれぞれ思ったことを言う。
ふと、なんとなくそんな気分になって瑞姫は柔らかい微笑みを浮かべて星空を見上げた。飛鳥と輝穂も、瑞姫にならって視線を移した。
それから先の言葉は瑞姫、飛鳥、輝穂の3人とも、考えるよりも先に口をついて出た。
「あれがわし座のアルタイル」
「はくちょう座のデネブ」
「そして、こと座のベガ」
Lyraの3人は時間が経つのも忘れて星空を眺めていた。
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