第七話 合宿
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瑞姫は呆れる。
「一応部活の合宿で来たんだから、ただ遊ぶだけっていうのはまずいんじゃ」
「部活といったら、ダンスや歌の練習?」
「それだったら、ここじゃなくても出来るわ」
「そうだよね……」
なかなかいい案が思いつかない中、輝穂がふと思い出したように言った。
「……あ、そういえば! 2学期が始まったらすぐ文化祭の準備が始まるよね!?」
「たしかに、そうだね」
「すると、文化祭でライブをしたいのね」
「その通り! それでね、また新曲をつくりたいかなーって」
「またなの……。まあ、いいけど」
曲づくりは瑞姫の専門分野であるため作業はどうしても瑞姫ひとりになるのだが、瑞姫はそれを良しとした。なんだかんだ言いつつ曲づくりが好きなのだ。
「新曲をつくるにしても、やることは普段と変わらないような……」
「甘いよ飛鳥、考え方が甘々だよ! 初めて来た場所、初めて見る景色。色々なものを見て新しいアイデアが生まれる! ついでに観光もできるし一石二鳥だよ!!」
ずいっと迫って輝穂が語ったアイデアに、飛鳥と瑞姫はその迫力に言葉を失った。
「な、なるほど」
「輝穂にしては、悪くないアイデアね」
そう、輝穂の提案は意外と悪くないアイデアだった。
なにはともあれ、これからの予定が決まって3人は早速部屋を出て観光に行こうとする。
「あれ? 結局、観光することになっちゃった……」
色々と理由づけされて結局、最初に輝穂が言ったように観光することが決まったことに、飛鳥はポツリとそう呟いた。
*
それから様々な観光地を見て回って、宿に帰る頃にはすっかり日が暮れていた。
夕食はその地方の料理を小さな老舗店で食べて、その味に満足しながら3人は宿を目指して歩いていた。
その途中、小さな湖の横を通りかかったところで輝穂がふと足を止めた。
「テル? どうかした?」
怪訝そうに飛鳥が尋ねる。かなり歩いたので、もしかしたら足を痛めたんじゃないかと心配になってくる。だが、そんな心配は杞憂だった。
「……ホタルだよ! ほら、あの湖のところでいっぱい光ってる!」
言われて飛鳥と瑞姫も湖のほうに視線を向ける。
「……スゴい」
「わぁ〜、キレイ」
無数のホタルが光を放ちながら飛び回るその光景は、言葉を失うほどに幻想的だった。
「私、今日ここに来てよかったわ」
「私も。こんなにステキな場所に来れてよかった」
「なんだか、違う世界に来ちゃったみたいだね」
それからしばらくの時間、彼女たちはホタ
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