第六話 憧憬
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ちゃん、見に来てくれたんだ」
飛鳥がそう言うと、えみは少し恥ずかしくなってそっぽ向いた。
「だから、次はあんたたちが私のライブを見に来なさい」
えみは踵を返して屋上から立ち去ろうとし、数歩ほど進んだところで立ち止まった。
「ライブが終わったら控え室に来て。スタッフには言っておくから」
「うん、わかった」
輝穂の返事を聞いて、えみは今度こそ屋上から去って行った。
だんだんと小さくなっていく後姿を、3人は見えなくなるまでずっと眺めていた。
そして迎えたえみのライブ当日。会場のドームはえみのファンで埋めつくされていた。
輝穂たち3人は客席の最前列、ステージに最も近いところにいた。
「うわ〜、すごいね」
あまりの人の多さに輝穂は間の抜けた声をあげる。
「みんなえみちゃんのファンなんだよね」
そわそわと飛鳥は周囲を見渡して、改めてえみの人気ぶりを実感した。
「あ、そろそろ始まるみたいよ」
会場から音楽が流れ出して、瞬間的に静寂が訪れる。
曲とともにえみの歌声が聞こえ、会場は歓声に包まれた。
ステージに煙が噴出される演出があって、ようやくえみが姿を見せる。
会場の歓声はよりいっそう大きくなった。
それからえみはオープニングの1曲を歌い終えた。
「みんなー! 盛り上がってるかー!!」
『うおぉぉぉぉ!!』
えみが観客にそう問いかけると、客席から大きな歓声が返ってくる。
「にっこにっこにー!」
『にっこにっこにー!』
えみの言葉に、観客はコールアンドレスポンスのように答える。
「みんな盛り上がってるねー! それじゃあ次の曲、いっくよー!!」
そう言うと曲が流れ出して、再びえみのパフォーマンスが始まった。
すさまじい盛り上がりを見せるえみのライブを、輝穂たちは最前列で楽しんで眺めていた。
ライブ終了後、輝穂たちはえみに言われたように控え室へ向かった。
関係者以外立入禁止の看板付近にいたスタッフにえみに呼ばれていることを伝えると、輝穂たちはそのスタッフにえみの控え室へと案内された。
ノックをして扉を開けると、えみはスタッフの大人たちに囲まれて談笑していた。
大成功と言っていいライブに、えみの顔は達成感で輝いていた。
スタッフの1人が控え室に入ってきた輝穂たちに気づいて、えみにそのことを伝える。
「すいません。友人が来たので少し外しますね」
そう告げてえみは入口付近で立ち尽くしている輝穂たちのもとにやって来た。
「待たせたわね。少し話をしたいから、場所を変えましょう。ついてきて」
そ
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