第六話 憧憬
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それぞれ席に着いた。
集まっていたクラスメイトたちも、えみに言われたことを気にしてか席にぞろぞろと席に戻っていく。
「ねえ飛鳥、今日のえみちゃんどこか変じゃない?」
さっき感じた違和感の正体を探ろうと、輝穂は隣の席の飛鳥に話しかけた。
「えみちゃんが? 私はいつも通りだと思うけど」
「なんていうか……いつもに比べて静かじゃない?」
「……そうね。言われてみるとそうかも」
「なにかあったのかな?」
心配そうに輝穂はえみに視線を向ける。同じように飛鳥もえみを見ていると、あることに気がついた。
「あ、たぶんだけど、周りに人がいないからそう感じるんだと思う」
「……どういうこと?」
「えみちゃんは芸能人だから、周りにはいつも誰かいて話をしているでしょ? でも今日は私たちのところにみんな来ちゃったから」
「あー、そうかも」
感じていた違和感に合点がいき輝穂は納得した。けれど同時に、周囲に人がいないえみに対して寂しさと申し訳なさが芽生えた。
放課後になってLyraの3人は屋上で練習をしていた。
いまだライブの興奮冷めやらぬといった彼女たちだが、それでも反省点はいくつもある。
迷惑にならないよう小さめの音量で曲を流しながら、彼女たちはダンスの練習に励んでいた。
Lyraオリジナルの2曲をひと通り歌いながら踊る。
今のところ予定のない次のライブに向けて、彼女たちは妥協を一切しない。
「はぁ〜、休憩っと」
練習に一区切りをつけて休憩をとる。3人は屋上にペタンと座り込んで流した汗をタオルで拭き、スポーツドリンクで水分を補給したりしていた。
突然、ギィっと重たい音がして屋上の扉が開かれた。
そこにいたのは現役アイドルのクラスメイト、七夕えみ。
「あ、えみちゃん。どうしたの?」
輝穂がえみに尋ねる。えみは足早に輝穂たちのもとへ歩いていき、目の前で立ち止まった。
どことなく不機嫌そうなえみの表情に、腰を下ろしていた輝穂たちは立ち上がる。
「……これ、あげる」
そう言ってえみは、輝穂たちに3枚の紙切れを差し出した。
「あ、ありがとう」
それを受け取って初めて、輝穂たちはその紙切れが何なのかを理解した。
「ライブの招待状……」
それは来週に開催されるえみのライブの招待状だった。
えみから受け取った招待状を見て、瑞姫は不思議に思った。
どうしてえみが自分たちをライブに招待するのか解らない。輝穂と飛鳥も動揺の疑問を抱いていた。
するとえみは、輝穂たちをまっすぐ見据えて言った。
「あんたたちの七夕ライブ、見たから」
「えみ
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